カーシェアや車のサブスクリプションサービスなど、新業態が世の中に浸透した今、車は「持たずとも乗れるもの」になりました。
中でも、気軽に車を借りたい人におすすめなのがレンタカーとカーシェア。どちらも車検や保険などの固定費をかけず、乗りたい時に乗りたいだけ利用できるので、毎日は乗らないけど車は必要という人から人気を集めています。でも……
「じゃあどっちを借りればいいの?」
そんな人のために、レンタカーとカーシェアの違いをまとめてみたら……意外にも、シーンごとに違った便利さがあることがわかりました。
カーシェアのメリット
日本でカーシェアが浸透したのはまだここ数年のこと。まずは、借りたことがある人が少なそうなカーシェアのメリットから説明していきます。
カーシェアにも色々なサービスがありますが、特に有名なのはタイムズ24が運営する「タイムズカーシェア」、三井不動産リアルティが運営する「三井のカーシェアーズ(旧カレコ)」、NTTドコモが運営する「dカーシェア」など。どのサービスを使っても、カーシェアならではの魅力を感じられるはずです。
予約手続きが簡単
カーシェアは基本的に、スマホアプリ内で予約を完結することができます。ショップや運営会社に電話をかける必要がなく、地図アプリを使って「今いる場所から近いところにある車」や「車種」を探せます。
車の解錠や返却もすべてスマホ上で可能。どの車を何時間借りるかも自分で決められるので、電話予約が苦手な人でも安心です。
ポートが多く近所で探せる
カーシェアの最大の特徴といえるのが、ポート/ステーション数(車の乗車場所)の多さです。レンタカーショップのように決まった店舗で車が管理されているわけではないので、家の近くで車を探すことができます。
1ヶ所のポートに何台も車があるわけではないですが、ポートが分散しているので、住んでいる場所が駅チカでなくても徒歩圏内で車を借りられる可能性があります。
分単位で短時間レンタルが可能
カーシェアは最短10〜20分から借りることができます。
たとえば「スーパーで大量の買い物をしてしまったので家まで運びたい」「終電が無くなってしまった友人を迎えに行きたい」「ちょっとした家具を知り合いの家まで運びたい」など、1時間に満たない用事の際にも“借りた分だけ”の料金で借りられるのが気軽です。
24時間いつでも借りられる
店舗で受付しなくてはいけないレンタカーと違って、カーシェアは深夜〜早朝も借りられるというメリットがあります。
もちろん予約をしていなくても、借りたいと思ったらアプリで車を予約するだけなので、深夜に突然思い立って遠出するといった感情に身を任せた行動にも対応可能です。
ガソリン満タン返却が不要
カーシェアはコンパクトな移動で使われることも多いので、レンタカーだと必須な「ガソリン満タン返却」が不要です。急いで移動したい場合や、急いで返却したい場合も便利ですね。
その代わり、借りた車がたまたまガソリンが少なかった……ということもあるので、注意は必要です。ガソリンを入れる際は、車に備え付けられている専用クレジットカードを使います。
延長・キャンセル処理が気軽
カーシェアだと、予約だけでなく延長やキャンセル処理もスマホアプリで可能です。レンタカーだと延長料金が高めな場合も多いですが、カーシェアの場合は返却時間の数分前までに、アプリ上で返却時間を変更しておけば、特別な延長料金はかかりません。
自分の後ろに予約が入っていた場合はペナルティが発生しますが、アプリで手軽に把握できるので、早めに確認しておけば安全です。
カーシェアのデメリット
手軽さ、気軽さという意味では圧倒的に便利なカーシェアですが、レンタカーにはないデメリットも存在しています。
サブスク料金がかかる場合がある
カーシェアサービスの中には、月額制の会員費がかかるものがあります。会員費とはいっても月1000円程度ですが、車に全く乗らなかった月でも料金はかかってしまうので注意が必要です。
会員費が不要なカーシェアサービスもありますが、会員費がかかるサービスの方が、距離料金や時間料金が安い場合があります。乗る月と乗らない月にムラがある人は、会員費無料のサービスで問題ありません。毎月何かしらで車を使う人であれば、会員費はかかっても料金の安いサービスを使うのがおすすめです。
休日は借りづらい
カーシェアはレンタカーショップのように、ポートからポートへ(レンタカーにおける店舗から店舗へ)車を手配してくれるサービスはないので、徒歩で取りに行けるポート数で、車の絶対台数が決まってしまいます。
レンタカー、カーシェアともに、休日や連休は予約が埋まりやすいですが、カーシェアの場合だとそもそも近所にある車の数が、レンタカーショップが確保している台数よりは少ない場合が多く、注意が必要。借りたい人が多い長期連休などは、事前に早めの予約が吉です。
車種が選びづらい
カーシェアは、ポートに置かれる車種がすでに決まっています。たとえば、人によって「徒歩15分以内のポートには、軽自動車しかない」という場合もあり、レンタカーのように同じ場所で好きな車種を借りられるとは限りません。
特に都会だと大型車を取り扱っているポートが少ないため、予約も埋まりがち。車種や乗車人数にこだわりがある場合は、レンタカーの方が便利かもしれません。
乗り捨てできない
カーシェアは基本的に乗り捨てができないので、行きも帰りも車で帰ってくることが必須ですし、移動先での駐車料金などもかかります。
レンタカーであれば「帰りは道が混んでいるみたいだから、車を返して電車で帰ろう」など柔軟な行動ができますが、カーシェアはそうも行かないので、旅行で利用する際などは注意しましょう。
距離料金がかかる
カーシェアの場合、車を借りる際の基本料金に加えて、距離料金がかかります。もちろん、長距離の移動を行うほど料金が高くなります。
カーシェアはちょっとした移動には便利で、スタート金額も安いですが、長距離移動がある場合はレンタカーの方が安上がりになる場合があります。
清掃前の車に当たる場合もある
カーシェアはレンタカーのように、返却後に毎回清掃に入ってもらえるわけではありません。だからこそ安く借りることができるのですが、時に「車内や車体が汚い」「タバコの匂いがする」など、マナーの悪い利用が垣間見える車に当たってしまう場合もあります。
レンタカーショップと違い、毎回返却後のチェックが入るわけではないので、衛生面が気になる人であれば、レンタカーを借りる方が無難です。
レンタカーのメリット
カーシェアには明確なメリットとデメリットもあることがわかったところで、次はレンタカーのメリットも確認していきましょう。レンタカーにも店舗が色々ありますが、「ニッポンレンタカー」「トヨタレンタカー」、そして激安で知られる「ニコニコレンタカー」などが有名です。
店舗によって料金も異なりますが、カーシェアのように1駅に何個もレンタカーショップがあるわけではないので、基本的には出発地から近いショップを利用するのがおすすめです。
会員登録不要で気軽
カーシェアの場合は予約が簡単ですが、会員登録はネット上で行うため、身分証明に時間がかかる場合もあります。
その点、レンタカーであればショップで必要事項を記入し、運転免許証を見せるだけで会員登録が完了。初めて借りる際に安心感が強いというメリットがあります。
車種が豊富
レンタカーショップでは1店舗で様々な車種を取り扱っています。特にカーシェアではカバーしづらい大型車も、台数が確保されている分借りやすいのがポイントです。
車種自体は当日まで確認できないことも多いですが、サイズ感は補償してくれるので、特に乗車人数にこだわりがある時に便利です。
メンテナンスが行き届いている
レンタカーショップでは、毎回返却ごとに車体の清掃があるので、衛生的も安心です。また、メンテナンスもこまめに行われているので、安全性が保証された車に乗れるというメリットもあります。
出先で乗り捨て可能
レンタカーの場合、旅先に系列のレンタカーショップがあれば乗り捨てられます。ある範囲だけを車で移動することが可能なので、交通の便がいい場所、よくない場所が混在している旅行の際などに便利です。
ただし、乗り捨ても手数料が発生する場合が多く、借りた場所から遠い営業所で返却する場合は費用が嵩みやすいです。それでも、カーシェアであれば乗り捨ては「不可」なので、いざという時に選択肢を多く持てるというメリットがあります。
保険制度が豊富で運転者登録が簡単
意外と嬉しいのが、レンタカーショップは保険制度が豊富なことと、運転者登録が簡単にできること。
カーシェアの場合、運転者登録は車の予約時にしかできず、当日に予約車以外の人の運転免許証を登録するのが難しい場合も。もしも登録者以外の人が運転して事故に遭った場合、保険適用対象外になってしまう可能性もあります。
しかし、レンタカーショップであれば、当日に運転者確認が入るので、その際に免許書を提示すれば、運転者を代えても保険が適用されます。長距離運転で運転を交互に行いたい場合などは、レンタカーが便利です。
オプションが豊富
レンタカーの場合、予約の際に様々なオプションを選べるメリットもあります。たとえば、雪山に行くためにスタッドレスタイヤを履きたい、Bluetooth搭載のカーナビがいい、バックモニターが欲しいなど、細かいこだわりに合わせて車を用意してもらいやすいです。
カーシェアだと、こういったオプションはポートごとには指定できず、自分でその車がある場所まで取りに行かないといけないのが不便。運転初心者でも、運転しやすい車やあったら嬉しいオプションなどを聞くこともできます。
レンタカーのデメリット
カーシェアにはないメリットもたくさんあるレンタカーですが、ならではのデメリットも。接客があるからこそ安心感があるレンタカーですが、その分手続き関係は手間がかかりがちです。
ガソリン満タンで返却が必要
カーシェアは長距離移動の際に距離料金がかかる代わりに、ガソリン代の負担がありませんが、レンタカーの「ガソリン満タン返却制度」では、移動でかかったガソリン代をユーザーが負担することになります。
これが意外と厄介で、ガソリンが減った状態で返却してしまうと、概算のガソリン料金が追加されてしまい「意外と高くついた」なんてことも。返却前に「ガソリン入れなきゃ!」と思い出せても、近くにガソリンスタンドがない上に、返却時間も迫っている……というケースも多いのです。
深夜〜早朝は借りられない
レンタカーは店舗の営業時間に車を借りに行かなくてはいけないので、深夜〜早朝に出発したい場合、営業中に車を先に借りておかねばならず、料金がかさみがちです。
釣りに行くや星空を見るなど、アクティビティによって深夜〜早朝に移動したい場合などは、カーシェアの方が便利です。
借りられるショップが限られている
そもそもレンタカーショップは駅前に立地していることがほとんど。ただし、どの駅にも必ずあるというわけでもないのが現状です。
自分の住んでいるエリアによって、駅前のレンタカーショップまでは距離があったり、そもそも隣駅までレンタカーを借りに行かなくてはいけない、といった場合も。カーシェアのポートなら近くにあるという人なら、カーシェアを使った方が便利かもしれません。
延長する場合は電話確認が必要
レンタカーの場合、カーシェアのように気軽に利用時間を延長することが難しいです。レンタカーは、後ろに予約が入っていなくても、当日の延長申請は延長料金がかかるパターンが多いです。
最初から余裕を持って借りておくという手もありますが、いざという時に料金がかさむ場合もあります。
激安レンタカーショップは保険制度が弱い
ニコニコレンタカーなど、中にはカーシェア以上に安い料金形態のレンタカーショップも存在するのですが、激安ショップは基本料金内の保険制度が弱いパターンがあるので注意しましょう。
基本的にかなり運転に慣れている人向けで、初心者にはあまりおすすめできません。
カーシェア vs. レンタカー、安いのはどっち?
カーシェアとレンタカーには、両者それぞれにメリットとデメリットがあります。だけど決め手にかける場合、やっぱり気になるのは「どっちが安いのか」だと思います。
その答えは……「場合による」です。
基本的に、短時間の利用であればカーシェアの方が安く済むことが多いです。多くのレンタカーショップは最低6時間からしかパック利用ができず、細かい時間料金でレンタルできないからです。
一方で、遠方への旅行など、1日以上車を借りる場合はレンタカーの方が安くなる場合があります。カーシェアは距離料金がかかるため、燃費のいい車に乗っても長距離移動するだけで費用がかさみます。
カーシェアは「半日以下」の利用がおすすめ!
カーシェアのメリットが活きるのは、半日未満の気軽なお出かけです。お買い物や小旅行の際、少しばかり時間が押しても延滞料金がかかりませんし、自宅に寄って荷物を降ろしてから近所のポートに車を返せたり、小回りが効きます。
また、星空が見たい、ちょっとみんなで夜遊びがしたいなど、夜のお出かけの際にもカーシェアが便利。予約や返却も気軽で、サービスによっては予約の入りづらい夜帯は、料金が少しお得なナイトプランなどが用意されている場合もあります。
レンタカーは「計画的な旅行」の利用がおすすめ!
計画的な旅行や、大人数で移動する場合などはレンタカーのメリットが活きます。予約を先にしておけば、ショップ同士で連携を取って台数の少ない大型車を確保してもらえる場合もあります。
予定がかなり先でも予約できますし、気になるオプション周りも、予約が先であるほど自由に設定しやすくなります。また、ショップへの電話でなら色々と融通が効きます。
まずはどちらも会員登録してみよう!
いざという時に困らないためには、カーシェアもレンタカーも、必要になる前に無料の会員登録だけでもしておくのがおすすめ。レンタカーはショップに行けば会員登録できますし、カーシェアはアプリ上で身分証明書の登録を済ませておきましょう。
どちらもメリット・デメリットがあるからこそ、どちらも利用できるようにしておけば、タイミングや目的に適した手段で車を借りることができます。会員登録のついでに、最寄りのカーシェアポートやレンタカーショップの場所を把握して、自分にとってより便利な使い方を検討してみましょう!
どっちが得か……知りたいわ