アクセルとブレーキがわからない | ペーパードライバー卒業への道のり 第一話

「車を運転したいけれど、何年も乗っていないから運転するのが不安」と、免許は持っているけど何年も運転をしていない、ペーパードライバー。

そんな方に向けて、同じくペーパードライバーの「のるウェイ!」編集部のかよちゃんを主人公に、「ペーパードライバー卒業までの道のり」を追う連載をスタート!

「ペーパードライバーを卒業したい!」と思っている方は、かよちゃんの今後の成長を参考にしてみてくださいね!

かよちゃん:「のるウェイ!」編集部。8年前に免許を取得し、仕事で1年半ほど運転するも、運転があまり得意じゃなかったこともあり、その後ペーパードライバーに。ペーパードライバーを卒業したら、飼っている爬虫類を車で病院に連れて行ってあげたい。「のるウェイ!」メンバーで日帰り温泉旅行に行くのも目標。

ペーパードライバー講習には、教習所に行って講習を受ける教習所運営の講習と、インストラクターに来てもらう出張型講習があります。今回は出張型講習を運営しているSPD東京スクールのペーパードライバー講習を受講。インストラクターは高山慎治さんが担当してくれました。

免許証のこと、身分証明書って言ってる子だ……。

丁寧なヒアリングからスタート

しばらく車のハンドルを握っておらず、以前運転していたときも周りの人からあまり運転の評価が良くなかったことから、講習前は緊張気味だったかよちゃん。そんな緊張を和らげるように、インストラクターの丁寧なヒアリングから講習がスタートしました。

高山さん かよちゃん(※)は免許を取ってから8年ぐらい、ブランクが4~5年。最初の1〜2年はお仕事で車を使っていたんですよね。最後にハンドルを握ったのはいつか、覚えていますか?(※)実際は名字で「さん」付けで呼ばれています

かよちゃん 2年前に旅行先で15分ぐらい……。怖くてやめてしまいました。

高山さん そうだったんですね。今回、ペーパードライバーを卒業したら車をどんなシーンで使用したいですか?

かよちゃん 仕事でもプライベートでも車を使えるようになりたいです!

高山さん わかりました。一緒に頑張っていきましょう! かよちゃんは、以前お仕事で車を使っていたぐらいですから、運転してみたら案外感覚を取り戻すかもしれませんよ。運転するための車の設備については覚えていますか?

かよちゃん ブレーキとエンジンがどっちかもわからないですね……。

高山さん (ブレーキとエンジン?)……ブレーキとアクセルですか。

かよちゃん あー! アクセル!

高山さん はっはっはっ(笑)! いちからご説明するので安心してください。都内でも練習しやすい場所を私たちのほうで下調べしていて、そちらで今日は運転してもらいます。近くにあるお手洗いの場所も把握していますし、休憩も適宜とっていくので安心してください!

かよちゃん 運転は苦手ですが、休憩は大好きです! よろしくお願いします!

先行きが不安である

何もわからなくても安心! 社内で基本操作の説明

いきなりハンドルを握って運転! ではなく、車内で基本的な設備や操作についての説明から始まります。内容を一部抜粋して紹介します。

高山さん では運転席に座ってみましょう。

まずは高さを合わせて、それから前後を合わせてください。足元は右がアクセル、左がブレーキです。実際に踏んでみて、位置を調整しましょう。

高さの目安としては、天井と頭の間が握りこぶしひとつぶん空くぐらいです。少し高く感じるかもしれませんが、なるべく目線を高くしたほうが、運転しやすくなります。

かよちゃん ンショ……(左足でブレーキを踏む)

高山さん あ! 今、左足でブレーキ踏みましたが、アクセルもブレーキも右足で踏むと良いですよ。左足でブレーキを踏むのは習得するのに時間がかかるので、踏み間違えを防止するために右足で踏む練習をするんです。

かよちゃん そんな記憶もあったような……。

高山さん 最後は背もたれと、ハンドルとの距離です。ハンドルを握ってみて、左に一回転ぐるっときってみてください。ひじが少し曲がるくらいで、ハンドルを回しやすい位置に合わせましょう。ハンドルが遠いと感じたときは、短いレバーで背もたれを少し前に調整してください。

力任せに回しているが、必要ではありません

高山さん 次にミラー調節のコツを教えますね。

ルームミラーとサイドミラー、2種類のミラーがあります。ルームミラーは後ろの窓の縦と横が全部映るように手で動かして調節してください。サイドミラーは多くの車が電動式で、つまみタイプとボタンタイプがあります。

まずは右ミラーについて、運転席から見たときに、道路が7割、背景が3割映るように調節します。 左右のミラーを見て何か同じものはありますか? 信号機でも建物でも標識でも大丈夫です。

かよちゃん 信号機がありますね。

高山さん では、その信号機を左右のミラーで見比べてみて、同じ高さになるようにするとちょうどいいです。今回は夜間で道路が見えずらく、「7割」「3割」と説明しましたが、日中で道路がよく見えるときは、地平線がミラーの中心より上にくるように調整しましょう。

▼運転前の基本操作についてはこちらの記事も参考にしてみてください!
初心者向け! 運転する前に知っておきたいクルマの基本的なこと

高山さん エンジンは、ボタン式になっている車が多いです。エンジンをかけるときはもちろんそのボタンを押すのですが、ボタンを押しただけではエンジンはかかりません。ブレーキを踏みながら押すことで、エンジンがかかります。

かよちゃん 押しただけではエンジンがかからないんですね! 私が免許をとったときは、クルマの鍵を差してエンジンをつけていましたね。急にボタンになるなんて……。

高山さん クルマも進化しているんです。さてさて、続いてギアについて説明します。

まず「D」がドライブで前に行くためのギア、「R」がリバースで後ろに行くためのギアです。「P」がパーキング、これはギアそのものが動かないようにロックしています。なので、パーキング中はブレーキを踏まなくても大丈夫です。車を駐・停車したときは何よりも先にパーキングにしてくださいね。「N」はニュートラルですが、どのギアともかみ合っていないフリーの状態を指します。サイドブレーキのかけ具合が弱いと坂道で車が進んでしまい、事故につながります。ですのでオートマチック車ではニュートラルをほぼ使わないと思ってください。前に進むD、後ろに下がるR、止まったときのP、この3つがあれば基本は大丈夫です。

かよちゃん もっと複雑だと思っていましたが、3つだけ覚えていればいいんですね。

▼エンジンやギアについてはこちらの記事も参考にしてみてください!
クルマ初心者でも安全に運転するために! 発進・運転中・停止の基本をおさらい

高山さん 最後にアクセルとブレーキの話です。

かよちゃんは今ブレーキの真ん中を踏もうとしてくれていますが、ブレーキパッドは横長なので右端で大丈夫です。かかとをつけた状態でブレーキの右端を踏むようにすると、アクセルとの移動が楽になります。

私がブレーキを手で踏んでみるので足を乗せていてください。

高山さんが手動でブレーキの加減を調整。講習では万一に備え、インストラクターが助手席からでもブレーキをかけられるようになっている

ブレーキの強さを5段階で覚えてください。1と2が普段使う強さです。3は普段あまり使わず、50〜60キロ出しているときに使います。4と5は急ブレーキなので、運転していて使うことはまずありません。初心者の方はグッと急に深く踏み込んでしまう方が多いのですが、微調整しながら踏む練習をしていきます。

アクセルを踏む強さは3段階で覚えましょう。1は浅く踏んだ状態、ブレーキを踏む前に使います。2は加速してきた際に使うと、一定の速度を保つことができます。3は加速時の強さです。強く踏むとエンジン音が聞こえます。基本的な操作はこんな感じですが、運転できそうでしょうか?

私、運転してもいいんだろうか……?

かよちゃん こんなに丁寧に説明してくれるんですね! すっかり忘れていましたが、どうやって操作するのか思い出しました。早速運転ということで少し緊張しますが、高山さんが隣にいるので、なんとかなります!

実際に運転! 直進練習を経ていよいよ左折の練習

基本的な操作の説明が終わり、実際に運転しながらの講習がスタートしました。今日は左折を中心に練習します。





(運転中)

かよちゃん 先生! とんでもなく不安です!

高山さん 大丈夫です。安心してください。この左折が終わったら、一回停車しましょう。

かよちゃん その停車も不安なんだよな……(小声でぶつぶつ)。あ、ハンドルもブレーキもサポートしてくれるんですね。助かりました。

高山さん はい。停車できましたね。それではさっそく、今の運転を振り返っていきましょう。

まず、左折の攻略ポイントは、3つあります。1つ目はカーブの起点が左肩にきたあたりでハンドルをきること。起点とは、直線が終わってカーブが始まる地点をいいます。肩よりも前にある状態でハンドルをきってしまうと、車の左側をぶつけやすくなってしまいます。逆に肩を通り越してからハンドルをきってしまうと、車が外に膨らみやすくなるんですね。

ホワイトボードを使って、イメージがつきやすいように説明してくれる

2つ目はハンドルをきるときに、曲がった先の右ラインを見るようにしてみてください。そうすると、道路全体が見えやすくなります。それに慣れると、ハンドルを切る量・スピードがわかるようになり、さらに横断歩道の人や自転車の発見が早くなるようになります。

3つ目は速度です。左折は曲がったらすぐに横断歩道なので、信号を渡る人がいたら止まらなければなりません。いつでも止まれるように速度調整をしましょう。

左折には危ない場所が3ヶ所あります。1ヶ所目は巻き込み事故。左折で一番起きやすい事故で、ハンドルをきったときに人やバイク、車を巻き込んでしまいます。2ヶ所目が曲がった先の横断歩道。3ヶ所目が膨らんで曲がった先の対向車に当たってしまう事故です。

3ヶ所目に関しては、カーブの起点までに速度を調整して、起点でハンドルをきる、曲がった先の右ラインを見て戻す、この基本操作ができていれば、危険性が必然的になくなります。正しい操作ができていれば、3ヶ所目の危険ポイントが消えると思ってください。

かよちゃん スピードを落として起点でハンドルをきる、曲がった先のラインを見る……。

高山さん その通りです。

次に、1ヶ所目と2ヶ所目の危険ポイントで事故を起こさないために、どこに注意するかをお話しします。

ウィンカーは曲がりたい交差点の30m手前から出しましょうと言われていますが、これはあまり気にしなくて大丈夫です。自分が曲がりたい交差点の手前に路地があった場合、手前から出しすぎてしまうと後ろの車や路地にいる車に勘違いさせてしまう可能性があります。なので、左折する直前になっても大丈夫なので、路地を通過した後に、ウィンカーを出すようにしましょう。

速度に関しては、交差点のカーブの大きさで変わってきます。 ゆるやかなところでは速度を大きく落とさなくてもいいし、ハンドルをきる動きが少なく、曲がることができますが、急カーブになると速度をしっかり落とさないといけないし、ハンドルをきる動きが大きくなります。曲がった先の右ラインを見ていると、どれぐらいハンドルをきったらいいのかもわかります。ハンドルをきるスピードは、曲がった先の右ラインを見て判断してください。

すぐにわかる! すぐに運転できる!

高山さん 安全確認については3つを意識してください。

  1. ルームミラーで後ろを確認
  2. サイドミラーで左後方を確認
  3. 目視

3の目視に関しては、首を左後ろに振ってと教えられたかもしれませんが、そこまで見る必要はないです、なぜならサイドミラーでも結構見えるんですよね。なので、余裕があれば後ろまで見たほうがいいですが、サイドミラーでは見えない左後方窓の辺りを確認してください。

安全確認のタイミングですが、ハンドルを左にきる前に、ミラーを見るくせをつけておきましょう。巻き込み事故はハンドルをきったときに起こる事故なので、きりながら見ても意味がないです。

かと言って、直前で安全確認をしようとすると、操作が乱れてしまいますよね。ブレーキを踏む前に3つの安全確認をし、そこからカーブの起点を見つけてブレーキをかけていくといいですよ。赤信号で止まってるときは、青になったらまずは巻き込み確認をしてからアクセル踏んでいきましょう。

かよちゃん 「るーしーさいもく」って教習所で習ったのを思い出しました! ルームミラー、指示器(ウインカー)、サイドミラー、目視、ですね!

教習後のフィードバック。ひとりで運転してもいい?

教習が終わった後は、フィードバックをもらいます。

高山さん 運転お疲れ様でした。アクセルとブレーキに関しては、非常に上手でした。運転に慣れてきて、途中で停止線をオーバーしがちになっているので、停止線を超えないようにしてください。

また、障害物を上手く避けられていましたね。車に関しては1mぐらい、自転車に関しては2m以上避けると思ってください。

停車時は無理して寄せず、路肩にまっすぐ平行になるように止めましょう。寄せたいときは左ミラーを使ってバックして寄せていくことでぶつかるのを防ぎます。先ほどの練習を忘れないようにしましょう。

上手に停車できた記念に写真をパチリ!

高山さん 左折は非常に良かったです。左折の操作で覚えておいてほしいのは、ハンドルをきる手前で速度を落とす、起点できる、右ラインを見てきる、戻すということ。次回は右折の講習をしましょう!

かよちゃん ありがとうございました! 自分も運転できるんだと自信がつきました! ひとりで練習してもいいですか?

高山さん それはまだやめたほうがいいですね。

かよちゃん ダメですか……。

高山さん 卒業までの道のり、始まったばかりですから! 特に都内の道路は何車線もあるので、まだひとりでは不安なレベルだと感じます。でも、かよちゃんは加速できていたし、左折もできていたので、初心者の中ではかなり上手でしたよ。

かよちゃん こんなに褒められると照れますね。実践が多かったのでドキドキしましたが、高山さんが丁寧に教えてくださったおかげで、安心して運転することができました。日帰り温泉旅行に行けるようにがんばります!

SPD東京スクールでは、丁寧にフィードバックがもらえる。講習終了後には、受講者専用ページで教習資料を見ることができる

出張型講習が増えている理由とは?

ペーパードライバー・かよちゃんの講習の様子をお伝えしました。

最初はアクセルとブレーキも、どっちの足で踏んだらいいのかもわからなかったかよちゃんでしたが、インストラクターが丁寧に教えてくれたことにより、安全に運転できていました。

また停車中、インストラクターにお話してもらっている最中にブレーキを離してしまい、急発進してしまう一面もありましたが、いざというときはインストラクターがブレーキを踏んでくれますし、ハンドル操作も助けてくれるので安心。

コロナ禍以降は自宅で過ごす時間が増え、電車やバスをなるべく避けたりする中で、需要が増えているペーパードライバー講習。需要が増えている反面、教習所では受付を停止しているところも増えてしまったようです。

そんなとき注目が集まったのが出張型・派遣型ペーパードライバー講習。

ペーパードライバーのみなさんも、講習から運転をスタートしてみてはいかがでしょうか? 引き続き、かよちゃんのペーパードライバー卒業への道のりをレポートしますので、お楽しみに!

関連リンク

SPD東京スクール公式サイト
https://www.pd-school.tokyo/

  • Photo: 塩川雄也

  • Writing: のるウェイ! 編集部

かよちゃん、一回でかなり上達したね〜! すごい!

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