トヨタ「ルーミー」試乗レビュー 街中で“超”運転しやすいトールワゴン

2016年に誕生したトヨタ発のトールワゴン(=全高が1,550mmを超えるハッチバック)型コンパクトカー「ルーミー」。

2025年上半期の販売台数は44,889台と、乗用車ブランド別のランキングで6位にランクイン(外部リンク)。そんなクルマの商品性・走り味はどうなのか?……販売店で検証してみました。

今回試乗したのは、2024年一部改良以前のモデルだよ

収容力の高さ、運転のしやすさを外観でも表現

トール系コンパクト──この「ルーミー」が属する車種の分類を表現した言葉ですが、実物を見ると確かにとても背が高く、コンパクトだと思いました。

トヨタ「ルーミー」[1]

(参考)
ルーミー:全長3705mm、全幅1670mm、全高1735mm、ホイールベース2490mm
ヤリス:全長3950mm、全幅1695mm、全高1495mm、ホイールベース2550mm
タント:全長3395mm、全幅1475mm、全高1755mm、ホイールベース2460

外観は、人やモノの収容力の高さや運転のしやすさストレートに表現。いわゆる“クルマの格好良さ”とは違いますが、「ルーミー」の本質に結び付いたスタイリングです。グッドデザインと評しても過言ではないでしょう。

トヨタ「ルーミー」[2]
背の高い“箱or部屋”のようなクルマ

よく考えられ工夫されたインテリア 運転手も同乗者も快適

「ルーミー」のカタログ冒頭には「『使える!動ける広い部屋!』ROOMYを外に持ち出して、快適な暮らしを叶えるROOMYSTに。」とのキャッチフレーズが掲載されています(外部リンク)。

コンパクトな外寸ながら、背の高さや室内のレイアウト・各種装備/仕様により、とても使いやすそうな空間が拡がっていました。

例えば、前席のドアは90度近く開き、後席はスライドドアと、乗り降りする人や積み降ろしするモノに便利なようにつくられています。シートアレンジにより、後席を広く使ったり、荷物を沢山載せたりできるようにもなっています。

トヨタ「ルーミー」[3]
様々なシートアレンジで用途に対応する後席シート

また仕様・装備の面でも、オプションとしてシートヒーターも選べるなど、上級車に劣らない豪華さです。これ一台で、様々なニーズに対応可能なクルマづくりがなされていると感じました。

運転者にとっても同乗者にとっても快適な空間を目指し、よく考えられ・工夫されたインテリア・仕様装備のクルマだと思います。

トヨタ「ルーミー」[4]
90度近く開くドアにより、乗り降り・積み降ろしなどにとても便利

街中であれば充分以上の動力性能 3気筒エンジン特有のうなりには注意

背の高いコンパクト車だし、走りには期待できないのでは?……試乗前はそう考えていたのですが、期待値を超える動力性能で走ってくれました。

試乗車は最上級グレードの「カスタムG-T」。1.0Lターボエンジンを搭載しており、最高出力は98PS・最大トルクは140Nmを発揮。標準的なトールワゴンのエンジンより、4割以上高い出力・トルクです。

街中で走行するには、十分以上だと感じました(一方、高速道路での走行など、より負荷の高い状況ではどう感じるのかはもう少し検証する余地がありそうです)。

ただ、加速する際に3気筒エンジン特有のビート音(=うなり音)がある点については注意が必要。個人的には、全く気にならない訳ではありませんでしたが、加速中の僅かな時間にとどまっていたので。大きな問題ではないように思いました。

全体に、「ルーミー」のコンセプトには、よくフィットしたパワートレーンだと思いました。乗りやすく仕上げられています。

トヨタ「ルーミー」
1.0Lターボエンジンは、「ルーミー」に充分以上の動力性能を与えている

コンパクト+大きな窓+高い視点=街中で“超”運転し易いクルマ

街中での乗心地も好印象でした。

車両重量や装着タイヤなどによる部分もあるかと思いますが、「ルーミー」は街中で遭遇する凸凹や路面の継ぎ目などを上手くしなやかに乗り越えてくれました。

4名乗車+荷物といった状況でも、そのしなやかさは維持されるのではないでしょうかか?

また、最も印象的だったのは、街中で“超”運転しやすいクルマだったということ。

もともとコンパクトカーは運転しやすいものですが、「ルーミー」はその中でもサイズ(全長3.7m・全幅1.67m)が小さい方。駐車している車や右左折車の多い街中での走行に際し、間をすり抜けるような走行や右左折・Uターンなどもしやすいです(最小回転半径4.7m)。

そこに、「大きな窓からの良好な視界」「高い視点からの安心感ある視界」も相まって、とても運転しやすいクルマだと感じました。

トヨタ「ルーミー」[5]
視認系・操作系を分かり易く配置。仕様装備も充実している

トヨタ「ルーミー」ハマやんの評価

ハマやん
元トヨタの企画マン・ハマやんです。試乗のプロです。

一般ユーザーがクルマに求めるものにとても分かりやすく応えたクルマ

・色々使いやすい室内空間や乗り降りしやすいドアなど細かい配慮
・動力性能・乗心地など、走りについても充分なレベルを確保
・街中で“超”運転し易いクルマ

Q1.乗る前の期待値に対してどうだった? 

評価A:使用価値・運転しやすさ・乗り味など期待値越え

Q2:乗った後、また乗りたくなった?

評価B:もう少し長い時間乗ってみたい感じもする

(※)S、A、B、C、Dの5段階評価。Sが最高評価。Dが最低評価。

試乗車:トヨタ ルーミー CUSTOM G-T
車両価格:¥2,257,200 (車両本体価格)
全長x全幅x全高・WB・車重:3705mmx1670mmx1735mm・2490mm・1110kg
直列3気筒1KR-VETターボ;996CC,98PS/6000rpm,140Nm/2400-4000rpm
前輪駆動,WLTC燃費;16.8km/L 最小回転半径;4.7M
サスペンション前/後;ストラット/トーションビーム,タイヤ;175/55R15

  • Writing: ハマやん

    クルマ試乗のプロ。元自動車メーカーの企画マン。同社の商品企画部在籍中、商品評価の一環として様々なクルマに乗り、レポートするようになったことを機に、公私合わせて2000台以上のクルマに試乗するようになった。現在、クルマのサブスクリプションサービス・KINTOやWebマガジン「のるウェイ!」などで試乗レビュー記事を連載している。

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