BMWのSUV 試乗レビュー　正常進化型の「X1」と近未来型の「iX1」

X1評：一目でBMWのSUVとわかるフォルム

存在感のある大きなフロントグリル（ヘッドライトの間にある格子・網状のパーツ）が目立つ最近のBMW。X1もその例に漏れず、フロントグリルは大きく、立派なエクステリア（外装・外観）になっていました。

全体として、SUVの多用途さとBMWのスポーティさのバランスをとった、一目でBMWのSUVとわかるフォルムです。ちょっと保守的にも感じましたが、逆に言えばBMWと聞いて思い浮かぶブランドイメージ通りだともいえます。

X1評：インテリアも最新のBMWらしいデザイン

ドアを開けてインテリアをみると、こちらも最近のBMWに共通する、大型ディスプレイをダッシュボードに組み込んだ、コックピット感のあるデザイン。

外観同様、“BMWらしさ”が分かりやすく表現されていると思いました。

X1評：BMWらしく安心できる乗心地

では、早速試乗。シフトレバーをD（ドライブ）レンジに入れ、販売店から公道へ。たった数百m走らせただけで「BMWだなあ！」と感じました。

エンジンの回り方や音、加速感に加えて、足回り（タイヤやサスペンションなど）の感覚、乗心地など様々な面で、これまで乗った事のあるBMWのクルマを思わせる乗り味だったからです。

特に、乗り心地は重厚ながら柔軟さも併せ持ち、気持ちがいい。これが“BMWらしさ”や信頼感を感じさせる大きな要因なのではないでしょうか？

この辺りは、先代モデルのX1では、同じくBMWのSUVであるX3や主力モデルの3シリーズと比べると、少なからず差を感じました。今回のモデルチェンジで大きく進化した点だと思います。

X1評：ガソリン車だからこそのクルマを運転している実感

「電気自動車もいいけど、やっぱりガソリンエンジンもいいなあ……」と思ったのは、郊外路で曲がりくねった道に入ったときでした。

その吹きあがり（アクセルを踏み込んだ際のエンジンの回転数の増加具合）や回転数の伸び、そして7速デュアルクラッチトランスミッションの巧妙な変速によって、クルマを運転している実感があったからです。

クルマの（BMWの）楽しさの大きな部分を占めていると思いました。

X1評：BMWらしく走らせたくなる“DNA”がある

今回、試乗させていただいたMikawa BMW岡崎店は、試乗ルートに曲がりの連続する道がある、大変恵まれた環境でした。そんなワインディングロードで、私は“BMWらしい運転”をしたくなりました。

より運転操作に集中し、操作の一つ一つを意識しながら、クルマとの一体感を味わう……といった感じの運転をです。

このX1では、あまり速度は出さなかったものの、適度に曲がりくねった道をうまく走ろうと、思わずいつも以上に操作に集中していました。

具体的に何がそういう気分にさせるのか？ 加速減の感じ？ ハンドルを操作したときの動き？ 音？ 乗り心地？

……よくわかりませんが、「これがBMWのクルマが持つDNAのようなものなのかなぁ」と思いました。

X1評：まとめ

1. “BMWのSUV”らしさが、見た目も走っても大変分かりやすい
2. かなりリファインされ、力の入ったモデルチェンジだった
3. 期待通り（走り味は期待値＋α）の正常進化型

iX1評：外観はX1とほぼ変わらず

続いては、完全電動コンパクトSUVのiX1へ。外観をX1と比べてみると、エンブレムやグリル､充電口（充電ポートリッド）が違っている程度。パッと見は、ほぼ同じように見えます。

BEV版のiX1も、X1のバリエーションであることを、物語っているような気がしました。

iX1評：乗り味は“BEVらしさ”と“BMWらしさ”を両立

販売店から公道に走り出すと、まずその静かさが印象的でした（……まあ、電気自動車なのだから当然だよね）。

そして走り進めると、徐々にiX1の“BMWらしさ”に気づきました……重厚かつ柔軟で信頼感のある乗心地や、曲がりくねった道に行くと“BMWらしく”走らせたくなる点は、X1と同じなんだなあ。

もちろん、ガソリンエンジンのX1とは、エンジンやモーターの駆動音やトルク（タイヤを回転させる力）感といった部分が違うのですが、例えるならX1に静かさやスムーズさといった“EVらしさ”を付け加えたイメージです。

電気自動車らしさと、（従来のBMWユーザーにとっての）違和感の無さの両立を図った乗り味だと感じました。

iX1の乗り味は、（私が1年前に乗った）BMW iXに乗った新鮮さやクルマ好きにとっての面白さはさほど高くないような気がします。しかし、その分、BMWらしさは高レベルと思いました。

それゆえに、X1とiX1両方を乗り比べると、「X1よりも電気自動車らしい静かさ・スムーズさのあるiX1の方が良いのでは……？」と思う人も、少なからずいるでしょう。

iX1評：動力性能は十二分　ハーシュの強さは△

X1と全く同じルートを試乗しましたが、システムトータルで200kW・494Nmを発揮する動力性能は十二分。クルマの重さが2トン以上あるとは思わせない走りができました。

乗心地については、X1と比較すると、重厚かつ柔軟で安心感はあります。とはいえ、X1はスポーティ度合いの高いM Sport版ということもあり、ハーシュネス（※）が強めで少し気になりました。

※舗装路の継ぎ目や段差などの凸凹を通過した際、クルマに生じる振動と衝撃音

iX1評:まとめ

1. 全体に好印象。期待値を相当上回っていた
2. 特に、“電気自動車らしさ”と“これまでのBMWユーザーに違和感なく受け入れられそうなクルマづくり・乗り味”を両立させているような感じが良かった
3. 内燃機関ユーザーから移行しやすく、EV化を進展させる商品という感じ
4. X1よりも進化した近未来型X1という感じ。「BMWのSUVはEV化したらこうなりますよ」というメッセージのように思われた

総評 BMW 「X1 xDrive20i xLine」と「iX1 xDrive30 M Sport」

＜BMW「X1 xDrive20i xLine」ハマやんの評価＞

Q1.乗る前の期待値に対してどうだった？　
評価A：力の入ったモデルチェンジ。走り味も向上しており、期待を超えていた。

Q2：乗った後、また乗りたくなった？　
評価B：長い曲がりくねった道（ワイディングロード）や高速道路で走ってみたい。

＜BMW「iX1 xDrive30 M Sport」ハマやんの評価＞

Q1.乗る前の期待値に対してどうだった？　
評価S：BMWらしさもあり、電気自動車（EV）らしさもある。大きく期待を超えていた。

Q2：乗った後、また乗りたくなった？
評価A：長距離走行、航続距離などを試してみたい。

（※）S、A、B、C、Dの5段階評価。Sが最高評価。Dが最低評価。

【X1の価格・スペック】

試乗車：BMW X1 xDrive20i xLine
車両価格：￥5,860,000（本体）
主要スペック：
全長ｘ全幅ｘ全高・WB・車重；4500mmx1835mmx1645mm・2690mm・1640kg
4気筒ガソリンエンジン；1998cc，204ps/5000rpm，300Nm/1450-4500rpm
7速DCTミッション，駆動；AWD
サスペンション前/後；ストラット/マルチリンク，タイヤ；225/55R18
WLTC燃費；12.9km/L

　

【iX1の価格・スペック】

試乗車：BMW iX1 xDrive30 M Sport
車両価格：￥6,980,000（本体）
スペック：
全長ｘ全幅ｘ全高・WB・車重；4500mmx1835mmx1620mm・2690mm・2030kg
前後モーター；140kW，247Nm,　(システムトータル200kW，494Nm) 駆動；AWD
リチウムイオンバッテリー；総電力量66.5kWh
サスペンション前/後；ストラット/マルチリンク，タイヤ；225/55R18
WLTC；155Wh/km, 465km