「のるウェイ」読者のみなさん、こんにちは。私はクルマ好きな元トヨタ自動車の企画マン・ハマやんです。
クルマの評価・企画に関わってきたこともあり、私はこれまで内外の色んなクルマに試乗し、その印象や感想をレポートしてきました。
「のるウェイ」読者のみなさんの中には、「初心者にはクルマ選びは難しいのでは?」「『試乗がおすすめ』って聞くけど、販売店に行ったらクルマの購入を迫られるのでは?」といった疑問や不安をお持ちの人もいるかもしれません。
私は「クルマ選びは難しいけど楽しい。そこに試乗が加われば、もっと楽しい」と思っています。
そういった観点から、色んなクルマに乗ってみた感想・印象をレポートし、みなクルマ選びの参考にしてもらいたいと考えたのが、この連載企画「ハマやんの超わかりやすい試乗記」です。
第一回は、販売店(ディーラー)でクルマに試乗するまでの流れを紹介。試乗する際のチェックポイント、そして気を付けておきたいマナーについて解説していきたいと思います。
クルマを販売店で試乗をするまでの流れ
1.販売店(ディーラー)を選ぶ
まず「自分の乗りたいクルマがどこの販売店にあるか?」を調べます。
最近は、自動車メーカーや販売店の公式サイト上に「試乗車・展示車検索」ページがあり、大抵の場合はどこの販売店に何の試乗車・展示車があるかわかります。
2.乗りたいクルマの試乗を予約する
サイト上で試乗予約までできるところもあるのですが、私はできるだけ行きたい販売店に直接電話して予約するようにしています。他の試乗車の情報や、当日担当していただくスタッフの人までわかることが多いからです。
なお、予約に関しては1〜2週間前までに押さえておくのがベターです(特に週末に試乗したい場合は、早めに予約しておきましょう) 。
予約する際に伝えるのは、氏名・連絡先・電話番号・希望日時などです。
所要時間について、実際にクルマに試乗するのは15分ほどですが、前後の説明や諸手続きなども含めて合計45分前後は見積もっておいたほうがいいと思います。
3.予約した販売店(ディーラー)に行き試乗する
試乗予約をした日時に、販売店に行きます。店頭で、「〇〇時に△△の試乗をお願いしたXXです」と告げ、担当スタッフの人につないでもらいます。
大抵の場合、「お客様アンケート」のようなものをテーブルで記入しながら待つように言われます。
担当スタッフの人が来たら挨拶をし、記入済みアンケートを渡し、免許書を見せてからクルマの元へ向かいます。
そして担当スタッフの指示に従い、お店が設定した試乗ルートを走行し、戻ってくる……以上が試乗の流れです(どうですか?簡単でしょ?)。
基本的には、助手席に担当スタッフが乗ってくれるので、試乗の道順・クルマの操作方法などは教えてもらえます。
販売店側の立場から見ると、試乗はそのクルマに興味・関心がある人とコンタクトできるチャンスなので、どこでも大歓迎してくれます。
また、試乗したからといって、そのクルマの購入を真剣に検討しなければならない、というわけでもないです(私の場合、試乗した後に販売店から連絡があったケースはほとんどありませんでした)。
試乗でチェックしたいポイント
試乗の際には「自分の好みや嗜好に合うか」「自分の使用目的に合うか」などを、実際にクルマを見て・触って・乗って確認していきます。
(もちろん、安全走行の範囲内でですが)色んな運転操作をし、クルマの反応を試してみましょう。
チェックしたいポイントは、趣味嗜好やその人のニーズによって変わってくると思います。
私の場合は、試乗中に次のような点をチェックしています。
- クルマの外観をどう思った? 自分のセンスに合う?
- クルマのドアを開けたとき、車内のインテリアにどんな印象を受けた?
- 運転席に座ってみてどう思った?視界はいい?
- ハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作性はどう? 使いやすそう?
- エンジンを始動したときの音はどう? クルマから伝わる振動も含めてどう感じた?
- 発進したとき、どう感じた?走り出してみて(その日の路面状況も踏まえつつ)乗心地や音はどう?
- アクセル・ブレーキ・ハンドル(ステアリング)操作に対するクルマの反応はどう? 加速したときにどう感じた? 速さはどう? 逆にブレーキを踏んだときどう感じた? 効き具合はどう?
- (安全運転の範囲で)強めに加速・減速をしてみたらどう感じた?
- 一定速度で走行しやすい?
- 路面の凸凹や継ぎ目等を乗り越えたときの乗り心地や衝撃はどう?
- クルマの流れ・交通の中で運転はしやすい? 安心感・余裕は感じられる?
総じて「そのクルマが自分に合ってると思うか?」「また乗ってみたいと思うか?」などについて考えてみます。
クルマに乗って・座って・走ってみてを、自分の五感を使ってチェックすることが大切です。その中で特に印象に残ったことこそ、自分にとっての、そのクルマの個性(キャラクター)だと考えています。
気をつけておきたい試乗のマナー
続いて、試乗する際に気をつけておきたいマナーについて紹介します。
1. 安全走行が第一かつ最大の優先事項
一般公道・交通の中でクルマを走らせて試乗するので、「安全な走行」が第一かつ最大の優先事項です。
そのクルマの事を知りたいために、加減速やコーナリング(交差点の右左折など)もするわけですが、周囲の交通状況をよく確認し、安全を確保した上で走りを確かめる……そんな運転をしなければいけません。
2. 販売店・スタッフへの感謝の気持ちも忘れずに
立場としては、試乗する私たちが買う側で、販売店側が売る側ではあります。しかし、スタッフに時間を割いてもらい、試乗車を使わせてもらっているわけです。試乗するときには感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
3. クルマを大切に扱う
上記と通じますが、試乗車を大切に扱いましょう。
ドアの開け閉めにはじまり、操作系の取り扱い、運転まで、(ことさら慎重になる必要もありませんが)常識の範囲で、丁寧に扱いましょう。
4.アンケート類を依頼されたら誠実に記入する
販売店側にとって、前述したように試乗は顧客とのコンタクトの場なので、大抵の場合アンケートの記入を求められます。
一般的な記入項目は、住所・氏名・電話番号・アドレス・現保有車・関心ある商品・来店のキッカケなどです。誠実に、本当のことを記入しましょう。
“自分に合ったクルマ”とは?
以上、販売店でクルマに試乗する際の流れやチェックポイント、気を付けたいマナーについて解説してきました。こうした情報が、皆さんのクルマ選びや試乗の際の役に立てば幸いです。
“自分に合ったクルマ”とは何か──百人百葉かもしれませんが、私の場合は、試乗してみて「好みのポイントが多い」「違和感が少ない」「どこかしっくりくる」クルマが、自分に合ったクルマだと思っています。
私が作成している試乗レポートでは、よく「乗る前の期待値に対してどうだった?(超える?/超えない?)」「乗った後、また乗りたくなった?(乗りたい/乗りたくない)」の2項目を“評価項目”としています。
本連載では、今後、個々のクルマについてレビューをお届けしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
十数年間でおよそ2000台のクルマに試乗し、その印象や感想をレポートしてきたハマやんによる連載がスタート!