「トヨタ ヤリス」試乗レビュー 4年連続“日本で最も売れたコンパクトカー”はどう改良された?

こんにちは、ハマやんです。連載第7回は、トヨタ自動車のコンパクトカーの代名詞である「ヤリス」の試乗レビューをお届けします。

「ヤリス」は、4年連続で“日本で最も売れたコンパクトカー”となったクルマ(日本自動車販売協会連合会調べ)。2024年1月には、3度目となる一部改良が施されました。

そして新たに、クルマのサブスクリプションサービス・KINTO専用のUグレード(ハイブリッド車)が導入されています。

今回「トヨタ ヤリス」のUグレードに乗って、新型「ヤリス」の出来映え・走り味を確かめてみました。

「ヤリス」は、2023年に約19万台売り上げたのよ(日本自動車販売協会連合会調べ)

コンパクトで個性ある外観&操作性が改良された内装

新型「ヤリス」といっても外装・外観の変更はわずか。目立つ点は、フロントグリルの意匠が変更されたくらいです。

しかし、“俊敏でキビキビと走るコンパクトカー”という佇まい・個性のあるスタイルで、古さ(※「ヤリス」は1999年に発売されたコンパクトカー「ヴィッツ」が前身、現モデルは2020年発売)を感じさせていません。

「トヨタ ヤリス」Uグレード[1]

ドアを開けて内装もチェック。こちらも一見するとあまり変わった印象はありませんが、細かく色々と改良が加えられていました。例えば、以下のような点がより使いやすくなっていました。

・レーダークルーズコントロール(=先行車との適切な車間距離を確保する運転支援装置)がワンタッチでセットできるようになった。
・センターディスプレイの仕様・意匠がアップグレードされた。

「トヨタ ヤリス」Uグレード[2]

全体に扱いやすく仕上げられている新型「ヤリス」の室内ですが、気になるところも。

メーター内ディスプレイのサイズが小さく(4.2インチ)表示される様々な情報を読みにくい点、そして電動パーキングブレーキ&ブレーキホールド機能が搭載されていない点が、今後改良してほしいところでしょうか。

動力性能と燃費のハイレベルな両立 エンジン音はより静かに

「ヤリス」は、もともと(特にハイブリッドが)良く走り・燃費も良いクルマです。今回、高速道路から郊外の路、街中まで250km以上走行してみて、さらにその感が強まりました。

平日の朝・昼という仕事のために走るクルマも多い時間帯に流れに乗って運転したのですが、1.5Lエンジン+電気モーターのパワートレーン(エンジンの動力を車輪に伝える装置)によって、充分以上の動力性能で余裕の走りができました。

高速道を巡行しても燃費が30km/L以上(254km走行の平均燃費が30.8km/L!)だと、とても得をした気分になれます。「ヤリス」のハイブリッド車モデルならではの価値を実感できました。

「トヨタ ヤリス」Uグレード[3]

細かい点ですが、エンジン音が静かになったような気がします。今回の一部改良によるものかは分かりませんが、フル加速をはじめエンジンに負荷をかけたときの音が、これまでの3気筒感あるものより静かになっており、あまり意識せずに済みました。

どこでも安定してキビキビ走るクルマ。走り味も改良された感じ

コンパクトで走りの良いクルマ”……それが世間の「ヤリス」のイメージだ思うのですが、今回色々な路で走ってみて、そのとおりのクルマだとわかりました。

高速道路では、安定した走り・クルーズコントロール(=アクセルペダルを踏まなくても、一定の車速で走行できる運転支援装置)の能力の高さを実感できました。

街中では、そのコンパクトさと俊敏さを活かして取り回しがとてもしやすく、曲がりくねった路では、シッカリ感と動質の高さ(=思ったようにクルマが動き、安定して走行できる感覚)を感じとれました。

「トヨタ ヤリス」Uグレード[4]

また、今回の一部改良で、走り味自体がより安定しシッカリしたようにも思います。

プレスリリースでは言及されていませんが、後述する乗心地の感じや前述したエンジンの静かさも相まって、より洗練された走り味でした。「ボディの強度アップや足回りの味付けの見直しなどが行われたのではないか?」と推察しています。

コンパクトカーとしては良好な乗心地 ロードノイズだけがちょっと残念

そんな「ヤリス」の乗心地ですが、改良前同様に地に脚がついた感じ(=路面状況やタイヤの状況をしっかり伝えてくる)です。車重1050kgの軽量コンパクト車としては良好と言えます。

高速道路の橋脚部分の継ぎ目で「ゴツン、ゴツン」となるのだけは、ちょっと苦手な感じでした。しかしそれ以外は、高速道路でも一般道でもしっかりした乗心地でした。

ただ一つ、気になったのはロードノイズ。路面状況の変化によって(特に高速道路で)結構大きな音で伝わってきていました。できれば、今後改良してほしいです。

進化しているADAS プロアクティブドライビングアシストも装備され、安心・安全に走行できる

今回、新型「ヤリス」に乗って最も印象的だったのは、走り味の改良、エンジンノイズの低減、そしてADAS(=先進運転支援システム)の進化でした。

ADASは、今やあらゆる車種で著しい進化を遂げている装備です。

このヤリスでも、プリクラッシュセーフティ(=進路状の先行車両や歩行者、自転車運転者と衝突の可能性が高いと判断したときに、衝突回避を支援、あるいは衝突被害を軽減する運転支援装置)の検出対象範囲を拡大。また、プロアクティブドライビングアシスト(=歩行者や自転車などを検知し、ブレーキやハンドル操作をサポートする運転支援装置)が実装されるなど、重要な改良・仕様追加がなされています。


「トヨタ ヤリス」Uグレード[5]

加えて、今回乗ってビックリしたのは、レーントレーシングアシストの性能向上です。

これまでの「ヤリス」では、ハンドルが行き戻りしてなかなかクルマ任せにはできなかったのですが、新型では、ピタッとレーン中央をキープして走行できました。まるで、クルマが白線をシッカリ見て操舵しているかのように。これには本当に驚かされました。

トヨタ「ヤリス」Uグレード ハマやんの評価

総評:トヨタのコンパクト量販車として、俊敏かつバランスよく仕立てられたクルマ
・競合の厳しいBセグメント(※主にヨーロッパで使われているクルマの分類方法。Bセグメントはコンパクトカーなど)市場だが、そのコンパクトさや全体のバランス、ハイブリッドの低燃費は大きな商品力
・一部改良でADASの進化や走り味・静かさの改良など、細部までブラッシュアップされている
・KINTO専売のUグレードは、見た目よりも質を重視したの合理的セレクション

ハマやん
ハマやんです。クルマのプロです。

Q1.乗る前の期待値に対してどうだった? 

評価A:プロアクティブドライビングアシストやレーントレーシングアシストなどのADASの改良や走り味は期待を上回っていた

Q2:乗った後、また乗りたくなった?

評価A:大抵の業務出張はこのクルマで用が足りそう。走りの満足度も高いと思う.

(※)S、A、B、C、Dの5段階評価。Sが最高評価。Dが最低評価。


試乗車:トヨタ ヤリス HEV “U”グレード
車両価格:¥2,238,000 (KINTO専売グレード)
全長x全幅x全高・WB・車重;3950mmx1695mmx1495mm・2550mm・1050kg
直列3気筒M15A-FXE;1,490CC,91PS/5500rpm,120Nm/3800-4800rpm
+電気モーター 1NM;80PS,141Nm
前輪駆動,WLTC燃費;35.4km/L
サスペンション前/後;ストラット/トーションビーム,タイヤ;175/70R14

  • Writing: ハマやん

売れるクルマには必ず理由があるんだね

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