こんにちは、ハマやんです。
ドイツの自動車メーカー・BMWの自動車ブランド・MINI史上最大のSUV(スポーツ用多目的車)という謳い文句で登場した「MINI カントリーマン」。
その最上位モデルにしてイメージリーダーたる「ジョン・クーパー・ワークス(John Cooper Works、JCW)」が、販売店に試乗車として配備されていました。偶然試乗できたので、レビューしていきたいと思います。
「私はJCWです!」という自己表現の強い外観
実は今回、「MINI カントリーマン」の試乗を予約していたものの、どのグレードに乗れるかまでは聞いていませんでした。
「MINI・カントリーマン」に試乗するのは、私は今回が2回目(前回は「S ALL4」に試乗)。前回の経験もあり、最初は「“ミニ”と呼ぶには、ちょっと大きいし立派すぎないか」と、少々ネガティブな気持ちでした。
しかし「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」に試乗できるとわかった時、そのモヤモヤ気分は吹き飛んでしまいました。
BMW MINIの最上級スポーツグレードである「John Cooper Works」。
2003年にその名を冠したクルマが初登場し、現在に至るまでBMW MINIのフラッグシップモデル(旗艦モデル)をつとめてきました(外部リンク)。
確かに「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」は、MINIとして見ると、車両サイズが大きいことには違いありません。
しかし、レッドの屋根(ルーフ)や各部分のアクセント、ブレーキキャリパー(ブレーキの部品)などのデザインによって、「私はJCWです!」とクルマに語り掛けられているような気持ちになりました。
MINIらしさはともかく、「ジョン・クーパー・ワークス」の持つイメージ・雰囲気によって胸踊らされました。
内装も新しいMINIらしさとJCWらしさがブレンド
内装も外観同様、「ジョン・クーパー・ワークス」らしさによって気持ちが昂ぶりました。
室内の基本造形や質感・装備などは、当然ながら通常グレードの「MINIカントリーマン」と同じ。
しかし、レッドを効果的に配したインテリアの色使いやシート・ペダル・ステアリングなどによって「ジョン・クーパー・ワークス」らしさが演出され、スポーツドライビングへの期待を高める雰囲気がありました。
一方、今回の「MINI カントリーマン」の大きな特徴である円形液晶ディスプレイや、ファブリック(布)素材が張られたインパネ(インストルメントパネル、計器版)とドアトリム、大きく整理された各種操作系やスイッチ類。
これらは新しいMINIらしさを感じさせ、そのブレンドによって、新しい「ジョン・クーパー・ワークス」像が具現化しているように思います。
走行モードの切り替え(クルマの走りの特性を変更できる機能)を発展させた「MINIエクスペリエンス・モード」により、「ゴーカート」「コア」「グリーン」「ビビッド」「タイムレス」「バランス」「トレイル」「パーソナル」の全8種類のモードに切り替えが可能。
切り替わるのは走行に関係する項目だけでなく、エンジン音や液晶センターディスプレイの表示、アンビエントライトの色やパターンなど、運転する環境を様々に変化させられるようになっているのも、新しいMINIらしさだと改めて感じました。
「ヒャッホー!これは良い」と走り味が右脳に直撃
「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」のエンジンは、通常グレードの3気筒1.5Lエンジンや、上位グレードの「S ALL4」に搭載されている4気筒2.0Lエンジンよりも大幅にチューンアップ。
最高出力317PS・最大トルク※ 400Nmを発揮するものになっています。
※エンジンがある回転数で回っているときに、どれだけの力でクランクシャフトを回しているか
グレード|エンジン種類|排気量|最高出力|最大トルク
C |直列3気筒|1498CC|156PS|230Nm
S ALL4 |直列4気筒|1998CC|204PS|300Nm
JCW |直列4気筒|1998CC|317PS|400Nm
走りはじめると、低速域から充分なトルクで余裕の走り。とても良い滑り出し……。
今回の試乗では、適度にアップ/ダウンと曲がりがある場所を走行。そこで、少し強めにアクセルを踏んで加速してみたり、曲がりのある場所を少し速めに走ったりしたところ、考えるより先に「ヒャッホー!これは良いわ。気持ちいい」と、自分の右脳が反応したような感じでした。
エンジンとデュアル・クラッチ・トランスミッション(ATの変速機のひとつ)の組合せ、しっかりしたボディの剛性、AWD(全輪駆動車)ならではの駆動力、巧妙な足回りの味付け……色々な要素によるものと思いますが、とても気持ちよく、安定しており、余裕あるスポーツライクな走りが体感できました。
乗心地は硬めだが、走り味の良さで気にならなくなる
「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」の装着タイヤは20インチ(245/40R20:タイヤ幅245/扁平率40%/リム径20インチ)で、先日乗った「S ALL4」と同じサイズ。
しかし、乗心地の硬さは、「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」の方が気にならなかったです。
アダプティブ・サスペンションの有無や足回りのチューニングによるものかもしれません。「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」の乗心地は、硬めながら、ほぼその硬さを気にすることなく乗れる感じだと思いました。
またその走り味の気持ちよさから、乗心地の硬さを忘れさせる、気にならなくさせる面も大きい。
試乗中「MINIエクスペリエンス・モード」を切り替え、標準の「コア」モードと「ゴーカート」モードも比較してみました。
スポーツモードにあたる「ゴーカート」モードでも、路面状態をガンガン伝えてくるようなものではなく、どちらかというと大人のスポーツ乗り味という気がしました。
この辺りは、車両の構成部品の多くを共有しているBMW「X1」(「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」に相当するのはM35i)の乗り味に共通するものなのかもしれません。
関連記事:BMWのSUV 試乗レビュー 正常進化型の「X1」と近未来型の「iX1」
運動性能・ステアリングフィールも安定感抜群
その走りの良さ、乗心地の揺るぎなさから、ついつい飛ばしてみたくなる「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」。
そうした場合でも、運動性能やステアリングフィール(操舵感)の安定感は抜群。タイヤがガッシリ路面に張り付いた感触があり、安心感も大きかったです。
そうした走りの気持ちよさに加え、「MINI カントリーマン」の特徴であるADAS(先進運転支援システム)の強化により、心理的な面でも安心感が引き上げられた感じがしました。
ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能(一定の状況下であれば、ステアリングから手を離して走行できる機能)や、「ドライビング・アシスタント・プロフェッショナル」との名称でアクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)や車線変更警告システムなどが搭載されているなど(これもBMW X1並みと言えばそうかもしれませんが)、現代のクルマとして十分な内容になっていると思いました。
「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」ハマやんの評価
総評:走り出すと「ヒャッホー!これは良い」と右脳に直撃する“JCWマジック”
・サイズ・デザインなど気になる点もあるが、感性価値で払拭できてしまう・最上級グレードで価格も高いが、理性を感性が抑えてしまう
・イメージ・内外装・走りの面で気分を上げるクルマ。MINIとしては大きいが、走りや特別感・凝縮感はMINIらしい
・車体は正直、MINIにしては大きいとは思う。ただ、「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」の走りや佇まいに接すると、そうしたネガティブな気分は忘れ去ってしまい……
・走りや「ジョン・クーパー・ワークス」ならではの特別感や凝縮感といったポジティブ面に意識が向かう
Q1.乗る前の期待値に対してどうだった?
評価A:「ジョン・クーパー・ワークス」らしい内外装に加え、走り味/運動性能が期待値を超えていた。
Q2:乗った後、また乗りたくなった?
評価S:この「MINI ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマン」であれば、色々な路を走ってみたい。
(※)S、A、B、C、Dの5段階評価。Sが最高評価。Dが最低評価。
試乗車:ミニ・カントリーマン John Cooper Works
車両価格:¥6,670,000 (オプション¥232,000,カラー¥96,000)
主要スペック:
全長x全幅x全高・WB・車重;4445mmx1845mmx1645mm・2690mm・1680kg
B48A20Hエンジン(L4ガソリン);1998cc,317PS/5750rpm,400Nm/2000-4500rpm,
7速DCTミッション,駆動;4WD
サスペンション前/後;ストラット/マルチリンク,
タイヤ前/後;245/40R20
「ジョン・クーパー・ワークス」は「MINI クーパー」を開発したエンジニアの名前から取られているのよ。