「トヨタ ハイエース バン」試乗レビュー 商用車という“プロの道具”

どうも、ハマやんです。

商用/自家用問わず、様々な荷物や人を運ぶクルマとして活躍している貨物車(運搬車)の大定番「トヨタ ハイエース バン」。初代が1967年に発売され、50年以上の歴史を持っているクルマです。

今回、とあるイベントに使う物品や機材を運ぶために、レンタカーでベーシックグレード「DX」を借りました。

数年ぶりに「ハイエース」に乗ったところ、何故このクルマがロングセラー(現行モデルは2004年発売)なのか、その理由がよく理解できました。

仕事で「ハイエース」を運転するために免許を取る人もいるんじゃないかな

高い視点、ボンネットがない……キャブオーバーの独特な運転スタイル

正面から見たときのスクエアな見た目やそのプロポーションから、(特に遠目では)さほど背の高いクルマには見えない「ハイエース」。

しかし、「ハイエース」はエンジンの上に運転席がある(ボンネットがほとんどない)キャブオーバー車。いざドアを開けて乗り込もうとすると、普通の乗用車やミニバンとは全く違う“特別なクルマ”であるという感覚を、いやでも味うことになります

(フロアが高く、運転席に乗り込むのにステップを使う必要がある時点でまず珍しいです)

トヨタ ハイエース バン[1]

運転席・助手席への乗り込みについては、決して「乗降性が良い」とか「楽」とか表現することはできません。

しかし反面、このクルマの特別さやキャラクターを分かりやすく表現しているとも言えそうです。その特殊性から、“プロの道具”であると連想させるのです。

運転中の視界も相まって、いつも「ハイエース」に乗るときはワクワクした気分になります(日常的に乗っている訳ではないから、という点ももちろんあるでしょう)。

トヨタ ハイエース バン[2]

流石は貨物車の大定番! 収納スペースは抜群の広さ

「トヨタ ハイエース バン」は、貨物車(荷物を運ぶことを主な目的とする)に分類されるクルマです。実際に物品や機材を積んでみると、その価値を十分以上感じ取ることができました。

荷室長3000mm(リアシート折り畳み時の荷室長2470mm)、荷室幅1520mm、荷室高1320mmと、スクエアで充分な収納スペースが広がっています

トヨタ ハイエース バン[3]

乗用車のようにはいかない動力性能 流れに乗る走行なら不足なし

「ハイエース」を借りたのは、イベント会場内で物品・機材を輸送するためでした。そのため、レンタカー店から会場までの移動中は、運転者一人のみと空荷状態。しかし、その条件でも「ハイエース」は乗用車のようには走れません。

今回乗った「トヨタ ハイエース バン」は、車両重量1690kgに2Lガソリンエンジン(136PS・182Nm)、6速ATという構成。しかし、ギアがワイドレシオのためもあるのか(5・6速はオーバードライブ)、結構アクセルを踏み込んでいるつもりでも、さほどの加速は得られませんでした。

さりとて、遅くて困る訳でもありません。今回の走行区間には新東名高速道路の120km/h区間もありましたが、そこでは周りのクルマ同様120km/hで普通に巡行でき、不自由・不足はありませんでした。

燃費は8.6km/l(WLTCモードでは9.3)と、さほど良いとは言えません。しかしこのハイエースの場合、そんなことは気にせずにしっかりアクセルを踏んでいけばよい(※)のかもしれません。

(※)一般に、急加速したり急ブレーキを踏むと、燃費が悪くなる

トヨタ ハイエース バン[4]

商用車らしい乗心地 しかし、そんなに悪くもない

ほぼ“空荷”状態だった今回の走行は、乗心地も“空荷”を意識するものでした。

最大積載量1250kgのこのクルマは、物品や機材を積んでいる状態でも大丈夫なように足回りが固められています。一般的な感覚では、固めな乗心地と表現できると思います。

積載状態を想定した、トラックなどにも使用されているリーフリジットサスペンション(リーフスプリング)は、路面の大きな凸凹に出会うと、結構なレベルで揺れを伝えてきます

とはいえ、“空荷”の状態であることを鑑みると、そんなに悪くもありません。大きな凸凹以外の路面状況では、まずまずの乗り心地でした。

トヨタ ハイエース バン[5]

攻めようとはまず思わない安定した乗り味

この「トヨタ ハイエース バン」で、コーナリングを楽しもうと思ったり、コーナーを攻めてみようとすることは(まず)ないと思います。

クルマ前端の高い場所に座っていることや視界、「トヨタ ハイエース バン」の動きから、そんな気持ちにはなりがたい。

しかし、慣れてくると徐々にペースアップできるようになりました。

あくまでキャブオーバー車としての評価ですが、乗り味は安定していて、どんな路でも安心して走れるクルマのように思えてきました。

べージックグレードでも充実した装備

今回乗った「トヨタ ハイエース バン」は、ベーシックグレード「DX」でした。

「何もついていなくて不便かもしれない」と予想していたのですが、意外にも色々と便利な機能がデフォルトで装備されており、ちょっとビックリしました。

トヨタ ハイエース バン[6]

・マルチインフォメーションディスプレイ
・レーンディパーチャーアラート
・電動ミラー
・バックモニター内蔵インナーミラー
・オートマティックハイビーム など

仕事で乗る人のことを考えて、またロングセラーゆえに基本の形状や構成は変わらないまま、細部に色々な工夫が込められて、使いやすく乗りやすいクルマに進化している……という事でしょうか?

歴代の「トヨタ ハイエース バン」の中で、現行モデルがモデルライフ最長(初代から10年・8年・7年・16年そして現行18年)なのには、それなりの理由があると思います。

トヨタ ハイエース バン[7]

まとめ:「ハイエース」の価値とは?

ハイエースの価値を考えてみると、以下の3つの要素を併せ持っているのではないでしょうか。

ハマやん
ハマやんです。 十数年間で約2000台のクルマに試乗しているプロです。

①積載性に優れたタフなトランスポーター&乗り味等の普通さ(基本価値)
➁様々な用途に適合するプロの道具(使用価値)
③プロの道具たるクルマを使い・乗る特別感(感性価値)

近年、業務用作業着ブランド「ワークマン」の商品が、一般客にも人気を集めていることにも通ずる“プロの道具感”が、「ハイエース」にはあるのではないかと思います。

また、日本最大級のカスタムカーの祭典「オートサロン」でも、ハイエースをベースとした車両は多数出品されています。

そのカスタマイズ人気もまた、ハイエースが上記のような基本価値・使用価値・感性価値に優れている商品であるが故なのでしょう。

試乗車:ハイエースVAN 標準ボディ/ルーフ/フロア 5ドア 3/6人乗り ガソリンDX
車両価格:¥2,502.600
主要スペック全長x全幅x全高・WB・車重;4695mmx1695mmx1980mm・2570mm・1690kg
1TR-FEエンジン;1998CC,136PS/5200rpm,182Nm/4000rpm,6AT
サスペンション前/後;ダブルウィッシュボーン/リジット,タイヤ;195/80R15

  • Writing: ハマやん

定番には定番たる理由があるのね。

share SHARE

編集部のおすすめ