アクセルオフで減速!初心者のための「エンジンブレーキ」徹底解説ガイド

運転免許を取得し、公道で車を走らせるようになると、「エンジンブレーキ」という言葉を耳にする機会が増えます。特に長い下り坂や雪道など、特殊な環境で安全に走行するためには、このエンジンブレーキを適切に使うことが非常に重要です。
しかし、「エンジンブレーキって、どうやって使うの?」「普通のブレーキと何が違うの?」といった疑問を持つ初心者ドライバーの方は少なくありません。
このコラムでは、エンジンブレーキの基本的な仕組みから、使用すべき具体的なシーン、得られるメリット、そして使う上での注意点までを、分かりやすく徹底的に解説します。エンジンブレーキをマスターして、より安全で賢い運転を目指しましょう

普通のブレーキと何が違うの??

1. エンジンブレーキとは?仕組みと役割

エンジンブレーキとは、フットブレーキ(足で踏むブレーキ)を使わずに、エンジンの抵抗を利用して車を減速させる仕組みのことです。

✅ エンジンブレーキの仕組み(燃料カットと抵抗)

エンジンブレーキが作動する基本的な仕組みは以下の通りです。

  1. アクセルオフ: 走行中にアクセルペダルから足を離します。
  2. 燃料カット: エンジンは車輪の回転によって強制的に回されますが、車載コンピューターが燃料の供給を停止します(フューエルカット)。
  3. 吸気抵抗の発生: エンジンは燃料がない状態で、シリンダーが空気を吸い込もうとしますが、アクセルが閉じているため吸い込みが制限されます。
  4. 抵抗発生: この吸い込みの抵抗がエンジン内部で発生し、その抵抗がタイヤに伝わることで、車体に「減速する力」として作用します。

✅ フットブレーキとの決定的な違い

項目

エンジンブレーキ

フットブレーキ

作動原理

エンジンの抵抗を使い、駆動輪から徐々に減速させる。

ブレーキパッドとローター(円盤)の摩擦で、全輪のタイヤを物理的に停止させる。

車の挙動

緩やかに、滑らかに減速する。減速力が弱いため、停止には向かない。

強く、短時間で減速・停止できる。

熱の影響

ブレーキパッドを使わないため、熱の影響がない

摩擦で熱が発生し、使いすぎると熱ダレ(フェード現象)を起こす。

燃料消費

燃料消費はほぼゼロ(燃料カット)

走行中の燃料消費は変わらない。

2. エンジンブレーキの「使い方」(AT車・CVT車)

現代のAT車(オートマチック車)やCVT車(無段変速機車)でも、エンジンブレーキは簡単に使うことができます。

  • 基本操作(アクセルオフ): 走行中にアクセルから足を離すだけでも、ある程度のエンジンブレーキはかかります。
  • シフトダウン操作: より強いエンジンブレーキをかけたい場合は、シフトレバーを操作してギアを低いレンジ(L、2、Sなど)に入れることで、エンジンブレーキの効きを強めることができます。

    「D」から「S」へ: ドライブ(D)からセカンド(S)やスポーツ(S)モードに切り替える。

    「D」から「2」や「L」へ: 急な坂道などで、さらに強い減速が必要な場合は、「2(セカンド)」や「L(ロー)」に入れる。

  • パドルシフトの活用: ハンドルの裏にあるパドル(+/ー)を使って、手動でシフトダウン操作をすることで、スムーズにエンジンブレーキをかけられます。

【注意】 走行中にいきなり「P(パーキング)」や「R(リバース)」に入れるのは、ミッションを破損させるため絶対にしないでください。シフトダウンは、速度とエンジンの回転数(タコメーター)を確認し、無理のない範囲で行いましょう。

3. エンジンブレーキを使うべき「4つのシーン」

エンジンブレーキは、フットブレーキの負担を軽減し、より安全に車をコントロールするために非常に効果的です。

シーン 1:長い下り坂

  • 理由: フットブレーキを使いすぎると、摩擦熱でブレーキパッドが過熱し、ブレーキが効かなくなる「フェード現象」や、ブレーキ液が沸騰する「ベーパーロック現象」を引き起こす危険があります。
  • 使い方: 下り坂に入る前にギアを「D」から「S」や「2」にシフトダウンし、フットブレーキに頼りすぎず、エンジンブレーキで速度を一定に保つようにしましょう。

シーン 2:雪道や凍結路面

  • 理由: 雪道でフットブレーキを急にかけると、タイヤがロックしてスリップしやすくなります。
  • 使い方: エンジンブレーキは緩やかに減速するため、タイヤがロックしにくく、安定した状態で速度を落とすことができます。ブレーキを踏む前に、早めにアクセルオフとシフトダウンを行いましょう。

シーン 3:カーブの手前

  • 理由: カーブの手前でエンジンブレーキを併用して減速しておくと、フットブレーキの使用頻度が減り、車体の姿勢が安定しやすくなります。
  • 使い方: カーブの手前でシフトダウンし、カーブ中はブレーキを踏まずに、一定の速度で曲がるように心がけましょう。

シーン 4:信号などでの早めの減速時(燃費向上)

  • 理由: アクセルオフでエンジンブレーキを効かせている間は、燃料供給がカットされているため、燃料を全く消費しません
  • 使い方: 遠くの信号が赤に変わったのを確認したら、早めにアクセルから足を離し、エンジンブレーキだけで惰性走行することで、燃費効率が向上します。

4. エンジンブレーキを使う上での「注意点」

エンジンブレーキは万能ではありません。使う上での注意点とデメリットも理解しておきましょう。

⚠️ 注意点 1:フットブレーキとの併用が原則

エンジンブレーキは、最終的に車を停止させる力はありません。あくまで「速度のコントロール」「フットブレーキの補助」として使い、最終的な停止や強い減速が必要な場合は、必ずフットブレーキを併用しましょう。

⚠️ 注意点 2:エンスト(MT車)やオーバーレブ(AT車)に注意

  • MT車: 減速しすぎた状態でシフトダウンが遅れると、エンジンが止まってしまう「エンスト」を起こします。
  • AT車: 速度が高すぎる状態で急激に低いギア(Lや2)に入れると、エンジンの回転数が許容範囲を超えて上がりすぎる「オーバーレブ」を起こし、エンジンを傷める可能性があります。シフトダウンは、タコメーターの針がレッドゾーン(赤色領域)に入らないか確認しながら行いましょう。

⚠️ 注意点 3:後続車への合図

エンジンブレーキはフットブレーキほど強く減速しないため、フットブレーキのようにブレーキランプが点灯しません

  • 対策: 強い減速が必要な場合は、軽くフットブレーキを踏んでブレーキランプを点灯させ、後続車に減速を知らせる必要があります。

5. まとめ:エンジンブレーキは「安全の技術」

エンジンブレーキは、車の構造を理解し、運転をより安全かつ経済的に行うための技術です。

  1. 仕組みを理解: エンジンブレーキは「エンジンの抵抗」を利用し、燃料は消費しない。
  2. 必須シーン: 長い下り坂雪道・凍結路では、必ず使う。
  3. 操作のコツ: AT車はシフトレバーを「S」や「2」に操作するか、パドルシフトでシフトダウンする。
  4. 安全の習慣: 減速するときは、フットブレーキだけでなくエンジンブレーキも意識的に活用する習慣をつけましょう。

これらの知識を実践することで、あなたはより経験豊富なドライバーへとステップアップできるでしょう。

  • Writing: のるウェイ! 編集部

    「のるウェイ」は、KINTOが運営する“クルマに詳しくない人”のためのWEBマガジン。編集部では、カーライフにまつわるモヤモヤやハテナを、初心者目線でていねいに掘り下げ、共感と発見のある読みものとして発信している。 コンテンツは、運転未経験からスタートする成長ストーリーや、教習所・ドライブ体験レポート、さらにはVTuberとのコラボ企画など多彩。ときには最新のコネクティッドカー技術もやさしく解説しながら、「運転って意外とおもしろいかも?」と思えるきっかけを届けている。 “気になる”から始まるカーライフの入口をつくるべく、編集部ではジャンルにとらわれず、等身大の視点でクルマと人との関係性を日々再発見している。

エコ運転にもなって一石二鳥ね🌳

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