1940年代、アメリカ軍の軍用車として誕生し、80年以上の歴史があるジープ(Jeep)。その伝統を受け継ぎ、象徴的存在でもあるオフロードSUV(=スポーツ用多目的用車)が「ラングラー」です。
トヨタ「ランドクルーザー」やランドローバー「ディフェンダー」、メルセデス・ベンツ「Gクラス」などと並び、現代の代表的オフロードSUVとしての存在感を放っているジープ・ラングラー。
2018年に4代目となる現行モデルへと切り替わって数年経ちましたが、改めてその乗り味や走りを確かめてきました。
伝統を物語る“オフローダー”らしいスタイル
4代目「ラングラー」は、いかにも“オフローダー”といった外観。サイズも、同様の背景を持つトヨタ「ランドクルーザー」やランドローバー「ディフェンダー」に近いです。
![ジープ「ラングラー」[1]](https://images.microcms-assets.io/assets/c8f79fe8d67e4eb3a34ad72f0d950baf/ad8771b5598a4763be87f226b56ea39d/Wrangler_1.jpg?fm=webp)
全長4870mmに対して、全幅1930mm・全高1855mmと、正面から見た時のプロポーションはスクエア寄り。伝統的なジープの正常進化系なのだと感じさせます。流行りの乗用車ベースSUVとは一線を画したスタイルで、存在感は抜群です。
参考:
■ラングラー
全長:4870mm
全幅:1930mm
全高:1855mm
ホイールベール:3010mm
■ディフェンダー 110
全長:4945mm
全幅:1995mm
全高:1970mm
ホイールベール:3020mm
■ランドクルーザー 250
全長:4925mm
全幅:1980mm
全高:1925mm
ホイールベール:2850mm
寸法だけで考えると、街中で持て余してしまいそう。しかしいざ乗り込んで運転しはじめると、高い視点からの視界が良く、見切りもよい(クルマのボディの大きさが運転手に把握しやすい)ため、さほどでもありません。リラックスして試乗することができました。
「オフロードSUV=走行・機能面以外の装備はシンプル」はもはや通用しない
運転席のドアを開けてインテリアを見ると、そこには機能的ながら、上質感も備えた空間が広がっていました。
![ジープ「ラングラー」[2]](https://images.microcms-assets.io/assets/c8f79fe8d67e4eb3a34ad72f0d950baf/944775aa6a2f408caa83aa9dec1af217/Wrangler_6.jpg?fm=webp)
様々なニーズに応えるためという面もあるのでしょうが、最近のオフロードSUVに共通する「乗用車としての機能性」「質感」「快適性」の3つを持ち合わせたデザイン・空間に仕上がっています。
運転席に座ってみても、快適なシートの座り心地、乗用車に近いメーター・操作系の配置など、その印象は変わりません。

価格上昇の一要因でもありますが、仕様・装備面でも充実度は高め。内外装の仕立てや安全・快適装備、マルチメディアプレイヤー、ADAS(先進運転支援システム)、各種アクセサリーなど、上級オンロードSUVとしても通用しそうなラインナップです。
「オフロードSUV=走行・機能面以外の装備はシンプル」という過去の公式が、もはや通用しないことを実感しました。
2.0Lなのに十分以上の性能を発揮するパワートレーン
続いてはパワートレーンについて。現在、日本で販売されているジープ「ラングラー」の搭載エンジンは、直列4気筒2.0Lターボのみ。8速ATを介して、後輪(4WDの場合は全輪)を駆動させています。

「2.0Lでしっかり走るのかなあ?」と疑問に思っていましたが、最高出力272PS・最大トルク(=低速域から加速する力)400Nmの性能と、賢く変速してくれる8速トランスミッションのおかげで、2.1トンの車体でも、街中で十分以上の動力性能を発揮してくれました。
発進~定速~減速・停止という街中走行において、アクセルを踏み込んだ際、低速域からでもスムーズに加速してくれます。
8速ATとのコンビネーションも抜群。エンジンの力をうまく引き出してくれている実感がありました。
乗り味・走り味も“オフローダー”的 しかしオンロードでの快適性や扱いやすさも兼ね備える
乗心地は基本的には固めながら、意外と良好。街中の凸凹や不整路面を雑味なく乗り越えて走行できました。
オフロード用のマッド&テレインタイヤ(GoodrichのMud-Terrain T/A 255/75R17サイズ)を履いている割には快適。
![ジープ「ラングラー」[4]](https://images.microcms-assets.io/assets/c8f79fe8d67e4eb3a34ad72f0d950baf/8d4c19d61a114ed3b3cc4b78fd992ab0/Wrangler_3.jpg?fm=webp)
よくできたオンロードSUVとは異なりますが、“信頼感あふれる乗り味”と表現できるのではないでしょうか。
昔の無骨なクルマとは違い、オンロードでの快適性や扱いやすさも兼ね備えたもの──“オールラウンダー”になっている──と感じました。
80年の伝統に裏付けられた“そこはかとない存在感・信頼感”
何よりも「ラングラー」は、80年の伝統に裏付けられた“そこはかとない存在感・信頼感”を放っています。
![ジープ「ラングラー」[5]](https://images.microcms-assets.io/assets/c8f79fe8d67e4eb3a34ad72f0d950baf/7187eaf23c614a58bfef7197741e0c6f/Wrangler_2.jpg?fm=webp)
この辺りは、トヨタ「ランドクルーザー」やランドローバー「ディフェンダー」、メルセデス・ベンツ「G-Class」など他社のオフロードSUVでも同様ですが、オールテレインヴィークル(=どんなところでも走れる乗り物)として、長い年月育てられ磨き続けられてきたクルマには、独特の存在感・信頼感があるものです。
そうしたオフローダーの存在感・信頼感こそ、搭乗者の気分を上げる特別感にもつながっているのではないでしょうか。
個人的に、十数年前は「オフロードSUVは絶滅危惧種」だと思っていましたが、今や拡大/多様化するSUV商品群の中で、オフロードSUVは数多いオンロードSUVとは一味違う魅力を放っています。

急速なSUV化の進展によって似たようなクルマが多くなってしまった現在は、かえって独自性の強いオフロードSUVが存在感を発揮するようになった……ということなのかもしれません。
ハマやんのジープ「ラングラー」評価

Q1.乗る前の期待値に対してどうだった?
評価B:基本オフローダーながら、オンロードでも充分快適に走行でき、汎用さが期待値越え。
Q2:乗った後、また乗りたくなった?
評価B:高速道路やオフロードで乗ってみたい。
(※)S、A、B、C、Dの5段階評価。Sが最高評価。Dが最低評価。
試乗車;ジープ ラングラー Unlimited Rubicon
車両価格;¥8,890,000
全長x全幅x全高・WB・車重:4870mmx1930mmx1855mm・3010mm・2110kg
エンジン:L4ガソリン・ターボチャージャー 1995cc,272PS/5250rpm,400Nm/3000rpm
駆動:AWD,8AT
WLTC燃費;9.2Km/L
サスペンション前/後:コイルリジッド/コイルリジッド,
タイヤ;LT255/75R17
武骨なフォルムにシビれるゥ!