EVとハイブリッド車の違いと選び方徹底解説

車の電動化が進む現代において、「EV(Electric Vehicle:電気自動車)」と「ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)」は、環境性能と経済性を両立させる選択肢として注目を集めています。しかし、どちらもモーターを動力に使うため、「結局何が違うの?」と疑問に思う初心者の方も多いでしょう。
このコラムでは、EVとハイブリッド車の基本的な仕組みの違いから、それぞれのメリット・デメリット、そして代表的な車種までを、分かりやすく徹底解説します。あなたのライフスタイルに最適な電動車選びの参考にしてください。

同じじゃないの?

1. EVとハイブリッド車の「仕組み」の根本的な違い

EVとハイブリッド車は、どちらも電気モーターを使いますが、エネルギー源と動力源の構造が全く異なります。

EVは、ガソリンエンジンを一切搭載せずバッテリーに蓄えた電気エネルギーのみを動力源としてモーターを回し、走行します。

EV(電気自動車): 電気エネルギーで走る車

  • エネルギー源: 外部からの充電(コンセントなど)
  • 動力源: モーターのみ
  • 構造: エンジンや複雑な変速機がなく、構造がシンプルです。
  • 排気: 走行時に二酸化炭素(CO2)や排気ガスを一切排出しません(ゼロエミッション)。
※参照:経済産業省「災害時における電動車の活用促進マニュアル」4P

 ハイブリッド車(HV): ガソリンと電気のいいとこ取り

HVは、ガソリンエンジン電気モーターの二つの動力源を搭載しています。走行状況に応じて両者を使い分けたり、組み合わせて使ったりします。

  • エネルギー源: ガソリン給油 + 走行中の回生ブレーキによる発電
  • 動力源: ガソリンエンジン + モーター
  • 構造: ガソリン車にモーターとバッテリーを追加した複雑な構造です。
  • 排気: エンジンを搭載しているため、走行時に排気ガスを排出しますが、ガソリン車よりは大幅に少ないです。
※参照:経済産業省「災害時における電動車の活用促進マニュアル」4P

💡 プラグインハイブリッド車 (PHEV) とは?

ハイブリッド車の中でも、外部から充電できる機能を追加したのがPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)です。通常のHVよりも大きなバッテリーを搭載しているため、EVのように電気だけで数十km走行することも可能です。長距離走行時はガソリンを使える、両方のメリットを持つタイプです。

※参照:経済産業省「災害時における電動車の活用促進マニュアル」4P

2. EV(電気自動車)のメリットとデメリット

究極のエコカーであるEVは、未来の車として多くの魅力がありますが、現在のインフラやコスト面で課題も残されています。

✅ EVのメリット

  1. 経済的な維持費:

    燃料費: ガソリン代に比べ、電気代は安価です。特に自宅の電力契約で深夜電力を利用して充電すれば、走行コストを大幅に抑えられます。

    税制優遇: エコカー減税や環境性能割などの優遇を受けられることが多いです。

    メンテナンス: エンジンオイル交換やスパークプラグ交換など、エンジン関連の部品交換が一切不要なため、メンテナンス費用が安く済みます

  1. 高い走行性能と快適性:

    加速: モーターはアクセルを踏んだ瞬間から最大のトルク(力)を発揮するため、非常にスムーズで力強い加速が得られます。

    静粛性: エンジン音や排気音が一切なく、走行中は非常に静かです。

  1. 環境負荷の低さ:

    走行時に排気ガスを排出しないため、都市部の大気汚染改善に貢献します。

⚠️ EVのデメリット

  1. 航続距離と充電の課題

    ガソリン車と比べ、航続距離が限られており、バッテリー残量を気にしながら運転する「航続距離への不安(レンジ・アネキサイティ)」を感じやすいです。

    充電インフラ: ガソリンスタンドほどの充電ステーションがなく、特に地方や長距離移動での充電場所の確保が課題です。

  1. 充電時間の長さ

    自宅の普通充電(200V)では満充電までに数時間かかります。急速充電(CHAdeMOなど)でも、満充電には至らず、充電に30分〜1時間程度の時間が必要です。

  1. 車両価格が高い

    バッテリーが高価なため、同クラスのガソリン車やハイブリッド車に比べ、車両本体価格が高くなる傾向があります。

  1. バッテリーの劣化

    スマートフォンと同様、長期間使用するとバッテリーが劣化し、航続距離が短くなる可能性があります。

3. HV(ハイブリッド車)のメリットとデメリット

ハイブリッド車は、ガソリン車に近い感覚で運転できるため、初めての電動車として非常にハードルが低いのが特徴です。

✅ HVのメリット

  1. 経済的な燃費性能

    ガソリン車に比べ、燃費が非常に優れています。特に発進時や低速走行時にモーターを使うため、渋滞が多い都市部で真価を発揮します。

  1. 利便性が高い(航続距離の不安がない)

    ガソリンさえあれば走行できるため、充電インフラや航続距離の心配が一切ありません。ガソリンスタンドでの給油時間はガソリン車と変わりません。

  1. 車両価格と維持のバランス:

    EVに比べると車両本体価格が抑えられており、燃費の良さと相まって、トータルコストのバランスが優れています

  1. 回生ブレーキ:

    減速時や下り坂で、モーターを発電機として利用し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに戻す「回生ブレーキ」により、効率的なエネルギー利用が可能です。

⚠️ HVのデメリット

  1. 構造が複雑:

    エンジンとモーターの両方を搭載しているため、構造が複雑で、故障時の修理費用が高額になる可能性があります。

  1. エンジン音とモーター音:

    EVのような静粛性は得られません。エンジンの起動時や、急加速時にはエンジン音が響きます。

  1. メンテナンス:

    エンジンオイル交換など、ガソリン車と同様のメンテナンスが必要です。

4. 代表的なおすすめ車種紹介

車種名

タイプ

特徴とおすすめポイント

日産 リーフ (LEAF)

EV

世界初の量産EV。手頃な価格帯と、電気自動車らしいスムーズな走りを両立。

テスラ モデル3 (Model 3)

EV

高い航続距離と圧倒的な走行性能、先進的なインフォテインメントシステムが魅力。

トヨタ プリウス (PRIUS)

HV

燃費性能と信頼性の高さは随一。現行モデルはデザイン性も高く、幅広い層に人気。

ホンダ ヴェゼル (VEZEL)

HV

スタイリッシュなデザインと、ホンダ独自のe:HEVシステムによる力強い走りが特徴。

三菱 アウトランダーPHEV

PHEV

外部充電が可能で、EV走行とガソリン走行の両方を使い分けられるSUV。アウトドアにも最適。

5. まとめ:どちらを選ぶべきか?

EVとハイブリッド車は、それぞれに明確な長所と短所があります。ご自身の「ライフスタイル」「環境」を照らし合わせて選びましょう。

EVがおすすめな人

  • 充電環境がある人: 自宅や職場に充電設備が設置できる人。
  • 走行距離が短い人: 普段の移動が片道数十km以内で、日常の充電でカバーできる人。
  • 環境性能と走行フィールを最優先する人: 究極の静粛性と力強い加速を求める人。


HV/PHEVがおすすめな人

  • 充電環境がない人: マンション住まいなどで、自宅充電が難しい人。
  • 長距離移動が多い人: 帰省や旅行などで、航続距離の不安を感じたくない人。
  • 初めて電動車に乗る人: ガソリン車と同じ感覚で利用開始したい人。

これらの情報を参考に、あなたのカーライフに最適な電動車選びを進めてください。

  • Writing: のるウェイ! 編集部

    「のるウェイ」は、KINTOが運営する“クルマに詳しくない人”のためのWEBマガジン。編集部では、カーライフにまつわるモヤモヤやハテナを、初心者目線でていねいに掘り下げ、共感と発見のある読みものとして発信している。 コンテンツは、運転未経験からスタートする成長ストーリーや、教習所・ドライブ体験レポート、さらにはVTuberとのコラボ企画など多彩。ときには最新のコネクティッドカー技術もやさしく解説しながら、「運転って意外とおもしろいかも?」と思えるきっかけを届けている。 “気になる”から始まるカーライフの入口をつくるべく、編集部ではジャンルにとらわれず、等身大の視点でクルマと人との関係性を日々再発見している。

違いがよくわかったよ!

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