こんにちは、ハマやんです。連載第9回は、テスラの電気自動車「Model 3(モデル3)」のベーシックモデル・RWDの試乗レビューをお届けします。
バッテリー電気自動車(BEV)の代名詞にして、様々な改革・商品展開を次々と実施してきたテスラ。
初の大幅改良を経た量販モデル「Model 3」の進化と真価はいかに。
テスラ車の中で最も一般性が高い外観 フロントを中心に意匠変更
最近は、街中で見かける機会も増えてきたテスラ「Model 3」。
外観はさほどインパクトの強いデザインではないと思うものの、一見してテスラのクルマとわかるアイデンティティがあります。
今回の大幅改良では、ノーズ(=クルマの先端部分)が低くなるなど、フロントを中心に意匠が変更されました。
一方、デザイン全体のまとまりは維持されています。依然としてテスラのクルマの中で、「Model 3」が最も一般性が高い外観だと思いました。
車両のサイズは、全長4720mmx全幅1850mmx全高1440mmと、日本の街中でも扱いやすいレベル。確かに乗っていても、大きすぎず、小さすぎず、手ごろで扱いやすかったです。
内装はさらに超シンプルを追求 クルマ・運転という概念を改革する姿勢
もともと、超シンプルだった「Model 3」のインテリアですが、今回の改良でさらにシンプルに。
具体的には、シフトレバー・ウインカーレバーが無くなり、それぞれメインディスプレイとステアリングスポーク(=ハンドルを支える柱)に移動していました。
走行中に操作する機会が少ないシフトレバーはともかく、右左折など進路を変更する際に操作するウインカーに関しては、正直扱いにくい部分もありました。しかし、それもテスラの個性の一部なのかもしれません。
多少使いにくさはあろうとも、“シンプルでミニマムに絞り込んだ操作系・視認系”を追求しているテスラの姿勢は、ある意味、クルマや運転という概念そのものをを改革しようとしているようにも思えます。
8つのカメラによる「テスラ・ビジョン」など装備類も充実
見映えは超シンプルな一方、仕様装備は充実しているテスラ「Model 3」。現代のクルマとして必要なものは、網羅されているように思いました。
先進運転支援システム(ADAS)についても充実していますが、特に8つのカメラを使用した「テスラ・ビジョン」は驚きの性能。
周囲の交通状況・道路の状態を映像としてディスプレイに表示するもので、安心感・未来感を持たせる装備だと改めて感じました。
加減速はよりスムーズに 乗り心地が改善、静かさも向上
今回、改良後の「Model 3」に乗って最も印象的だったのは、よりスムーズさ・乗りやすさが増した走り味、そして乗心地の良さ・静かさでした。
改良前の「Model 3」(2017年発売モデル)には過去に2度試乗する機会があったのですが、当時の印象は「いかにも電気自動車(EV)らしい感覚」。その分、鋭い加減速をするには慣れが必要だと思いました。
しかし、改良した今回の「Model 3」は、より加減速がスムーズで普通のクルマに近いフィーリングに。かつ、電気自動車らしい静かさはそのままでした。
乗心地についても大幅に良くなった印象。改良前は固めで、時に凸凹を乗り越す際に音が出てしまっていましたが、今回乗ったクルマは、路面不整や凸凹を本当に上手くいなして走れていました。
また、静かさの向上も大きなポイント。もともと静かなバッテリー電気自動車とはいえ、今回、全面的に採用された遮音性のあるアコースティックガラスの効果でしょうか? 終始静かな空間でドライビングすることができ、総体的に、より洗練された走り味・乗り味でした。
犬連れ旅行にはありがたい「ドッグモード」
今回の試乗の中、スタッフに教えてもらったことの中で、最も感心したのは「ドッグモード」。
「ドッグモード」は、サービスエリアやパーキングエリアなどで、犬を車内に残してクルマから一時的に離れる際に、車両はパーキングにしつつロック、ただしエアコンは付けておくモード。
なのですが、それをワンタッチで可能にし、かつドッグモードであることをメインディスプレイに大きく表示させられる点が良く出来ていると思いました。
この機能はユーザーからの要望に対応し、ソフトウェアのアップデートとして実現されたそう。こうした気遣いや定常的なソフトアップデートが、テスラというブランドの魅力のひとつなのでしょう。
ハードウェアだけでなく、ソフトウェアによって色々な制御や動作がコントロールされている現代のクルマの有り様を考えると、テスラは今後のクルマの方向性を示唆しているのかもしれないとさえ思いました。
テスラ「Model 3」ハマやんの評価
テスラ=The・電気自動車。クルマとしての出来が更にリファインされている
・各社から発売されているバッテリー電気自動車だが、日本にも100箇所以上設置されているテスラ専用の急速充電器「スーパーチャージャー」の展開も含めて、“テスラ=The・電気自動車”という印象が強い
・走り味・乗り味でもバッテリー電気自動車としての特徴・良さを感じさせてくれる
・改良後の「Model 3」は、走り味・乗心地・静かさなど、クルマとしての出来が更にリファインされていた
クルマ・運転の“概念”を改革しようとしている
・ガソリン車→電気自動車というだけでなく、「テスラ・ビジョン」や運転支援機能「オートパイロット」、超シンプルな内装/操作系など、新しいクルマ・運転の概念を造り上げようとしている
・様々なモデル展開や自動運転タクシー「サイバーキャブ」の開発構想など、これまでの自動車メーカー・ブランドでは考えにくい企画・開発・ビジネス化を実行している。
電気自動車の開発・投入・販売に20年近い歴史 その蓄積の力
・クルマでも何でもそうですが、積み重ねた歴史によるの力というのはあるもの。電気自動車というジャンルにおいても、他の会社より長年積み重ねてきたノウハウや知識・技術などは、テスラの強みになっているのではないでしょうか? 「20年近く電気自動車をやっていますから……」という試乗スタッフの言葉に、そんな説得力を感じさせられました
Q1.乗る前の期待値に対してどうだった?
評価A:走り味・乗心地・静かさが期待値越え。“The電気自動車”感覚あり
Q2:乗った後、また乗りたくなった?
評価S:充電事情さえ解決できれば自分のクルマとして欲しい感じもする
(※)S、A、B、C、Dの5段階評価。Sが最高評価。Dが最低評価。
試乗車:テスラModel3 RWD
車両価格:¥5,313,000(本体)
全長x全幅x全高・WB・車重:4720mmx1850mmx1440mm・2875mm・1765kg
モーター:208kW, 350Nm 駆動;RWD
リチウムイオンバッテリー:総電力量54kWh
サスペンション前/後:マルチリンク/マルチリンク,タイヤ:235/45R18
WLTC:573km
テスラ社の共同創設者のひとりは、あのイーロン・マスクさんよ