マイカーを持つほどではないけれど、毎回レンタカーを借りるのもちょっと面倒。そんな人でも使いやすいのが、カーシェアリングサービスです。
いくつもサービスがあって、「どのサービスを使っていいかわからない」「どんな違いがあるのかわからない」という人もいるのではないでしょうか。
今回はカーシェアサービスの中でも人気の「タイムズカー」「三井のカーシェアーズ(旧カレコ)」「エブリゴー(EveryGo)」を実際に利用して、使い勝手や金額などを比較していきます。
カーシェアってどんなサービス?
カーシェアとは、会員同士で車をシェアして使うサービスのこと。レンタカーと似ているように感じるかもしれませんが、入会登録がWebで完結する上、アプリ上でステーション(車が置いてある駐車場等)を検索して、近くの車を予約することができるので、レンタカーというよりはシェアサイクルに近い手軽さがあります。
ステーションの数が続々と増えているサービスも多く、近所にステーションがあれば、思い立った次の瞬間には車でお出かけできます。最低15分からレンタル可能なサービスもあり、買い物や人のお迎えなど、ちょっとだけ使いたい時にもとっても便利なサービスなのです。
カーシェアサービス3社を登録〜利用してみた
便利なサービスだとは知りつつも、まだ自分でカーシェアを借りたことがないという人もいるはず。そこで今回は、人気カーシェアサービス3社に登録! 実際にレンタルしてお出かけして、サービスを比較してみました!
エントリーナンバー1:タイムズカー(旧タイムズカーシェア)
まずは、ステーション数で圧倒的ナンバーワンを誇るタイムズカーに登録してみます。気軽に車を利用するなら、なんだかんだ家の近くにステーションがあるとありがたい。タイムズカーのステーション数は全国で1万6017箇所!(2023年10月時点)。近所で車を選べる可能性が高い点に魅力を感じました。
タイムズカーでは、いくつかの入会方法を選ぶことができます。家から出たくなかったので、今回は一番お手軽そうな「スグ乗り入会」を選択!
登録に必要なものは、自分の運転免許証と支払いに使うクレジットカードだけ。学割もあるようなので、学生の方は学生証も用意しましょう。
タイムズカーでは、カメラ画面に表示されるガイダンスに従って、運転免許書とセルフィーを撮影し、本人確認を行います。ガイダンスはわかりやすかったので、比較的簡単に必要書類を提出できました。
ちなみに、セルフィーを撮影する時はマスクや防止、メガネも着用NGとのことで、近眼族は注意が必要です。
その後、住所や本名、免許証やクレジットカード情報などを手打ち入力。こちらもガイダンスが表示されるので、迷いなく情報が入力できるはず。ここまで入力できれば、会員申請が完了です。
「15分で利用できるってホントかよ……」と思っていましたが、今回は約20分で「会員登録完了」のメールがアドレスに届きました!
あとはアプリと連携して予約するもよし、そのままWeb上で車を検索するもよし。予想以上に簡単だったので「もっと早く使ってみたらよかった」と後悔(笑)。
アプリと連携して、今いる場所の近くにあるステーションを検索すると、ステーション数ナンバーワンを誇るタイムズカーの実力を知ることができます。東京都内であれば、多くの駅の徒歩圏内にたくさんのステーションがあることがわかります。
ステーションによって車のランクや車種は様々。借りたい時間を設定したら、自分が運転したい車のサイズから選んだり、今いる場所から近い車を選んだりと、選択肢の幅の広さも特徴です。
借りたい車が決まったら、補償サービスの有無や、追加運転者の登録も可能に。タイムズカーは距離料金やガソリン料金がかからないので、この時点で課金予定金額を表示してくれるのも親切。1時間880円って、そんなに安いんか……。
タイムズカーは給油と洗車で割引適用の特典も
予約ができたので、早速車をお迎えにやってきました!
タイムズカーのステーションは「タイムズ駐車場」内にあることが多いので、比較的出庫や駐車がしやすいのも特徴です。とはいえ、都内の駐車場は隣に車が止められている場合も多く初心者は要注意。出庫しやすさは周辺状況にかなり左右されます。
駐車や出庫に自信のない場合は、実際に近所を歩いてみて、道幅や隣の車と余裕のあるステーションを選ぶのもいいかもしれません。
利用時間がやってきたら、スマホ上で「利用開始」を選択すると、勝手に車の鍵が開きます。なんだか近未来的〜!
車内の衛生環境はそこそこといったところ。全車禁煙となっているので、タバコの臭いなどはしないのですが、今回借りた車は少し足元に汚れがありました。
車には車内清掃用のクリーナーや消臭剤、ウェットティッシュなどの備品も。自分が車を汚してしまった時は、これらの備品を使って車内を清掃しましょう。
車の鍵は、助手席のグローブボックス(ダッシュボード内にある収納スペース)内に入っています。ちなみにグローブボックス内のファイルには、ガソリン給油用のクレジットカードも。車のガソリンが減っている時は、20リットル以上の給油を行うことで、30分の料金が割引されます。
ちなみに、水洗い洗車でも30分の割引が適用。汚れが気になる場合は、自身が気持ちよく運転するためにも積極的に洗車するのもオススメです。
車内の様子や鍵の場所を確認できたところで、いざ乗車! たまにしか車を運転しない人は緊張する瞬間かもしれませんが、補償サービスも利用できるので、肩の力を抜いて走り出しましょう。
今回は運転に慣れるため、近所でよく走るコースを1時間かけてぐるりと回ってみました。
都会の運転には慣れが必要ですが、カーシェアなら短い単位で車を借りることができるので、短時間でも運転の練習をしたり、よく走る道で慣らし運転をするといった使い方にも最適です。
用事が済んだら、予約した時間内にステーションに車を返却。1分でも時間が過ぎると超過料金が発生してしまうため、間に合わなそうな場合は事前にアプリ内から延長申請を忘れずに。
自分で延長申請すれば、正規料金が課金されます。ステーションによっては駐車に手間取る場合もあるので、時間に余裕を持っての行動がおすすめ。
ステーションに車を駐車したら、鍵をグローブボックス内に戻して、車を降りたらアプリで返却申請を行い、施錠。返却申請を忘れた時も超過料金が発生するので、アプリ操作を忘れずに!
エントリーナンバー2:三井のカーシェアーズ(旧カレコ)
お次は、月額利用料ナシで借りることができるという「三井のカーシェアーズ」に登録。月額料金がかからないので、乗らない月があっても損しないというのがメリットです。
三井のカーシェアーズは免許証撮影のガイダンスなし。シンプルで登録しやすかったです。
タイムズカー同様、個人情報や免許証、クレジットカードなどの情報は手打ちで入力していくのですが、セルフィー撮影は必要ありません。
カーシェア登録したいけれど、そのために身だしなみを整えるのが面倒 or 運営に寝癖ボサボサの自分を晒すのは嫌だ、という人にとってはありがたい。
ちなみに、一人暮らしで引っ越し回数が多い人は、免許証の住所が古くなっている場合もあるでしょう。その場合は、該当項目をチェックして、裏面記載の現住所を改めて手打ちする必要があるようです。
最後に、利用開始月と料金プランを選んだら、申請完了。ガイダンスやセルフィー撮影がないので、タイムズカーより早く申請を進めることができました。
ちなみに、三井のカーシェアーズもタイムズカー同様、月会費ありの「ベーシックプラン」も選べます。月会費がかかる分、時間料金はお得ですが、毎月乗る予定がないという人であれば、月会費無料プランを選んで間違いないでしょう。
三井のカーシェアーズはなんと、申請完了からたったの4分で入会が完了。会員登録が面倒で苦手な方は、タイムズカーより三井のカーシェアーズの方が、気軽に登録できるかもしれません。
三井のカーシェアーズのステーション数はタイムズカーと比べると少ない印象。アプリでは詳細検索をかけられるので、車種やスタッドレスなどのオプション有無を指定して、車を検索できます。
タイムズカーのように予約画面で予定金額を確認することはできませんが、アプリ検索のしやすさは、三井のカーシェアーズが一歩リード。
三井のカーシェアーズでは東京スカイツリー方面へ
実際に予約した車が置いてある場所に行ってみると……今回はマンションの駐車場でした。
三井のカーシェアーズは、三井不動産リアルティが運営するサービスなので、リパークなどの駐車場のほか、今回のように一般住宅の駐車場内にステーションがある場合も。場所によっては、路面駐車場とは異なる見通しの悪さや出庫しづらさがあるので、注意が必要です。
三井のカーシェアーズもスマホ経由で利用開始操作を行い、車を解錠します。
車内の衛生状態は上々。足元の汚れもなく、臭いも気になりませんでした。衛生状態はサービスそのものの努力もあるかもしれませんが、周辺ユーザーの民度の高さとも比例するので一概には言えないところ。自分もなるべくキレイに使って返したいですね。
三井のカーシェアーズの車も、グローブボックス内にキーやクレジットカードなどが入っています。サンバイザーの裏に挿しっぱなしにして返却されている場合もあるので、ファイル内にカードが見当たらない場合は、運転席付近を探してみましょう。
備品はタイムズカーと同様、クリーナーと消臭剤、ウェットティッシュを標準装備。ちなみにUSBポートの有無やカーナビのモデルなども、車によってそれぞれ異なっています。
今回は広めの駐車場から出庫できました! このまま運転練習も兼ねて、東京スカイツリーの見える錦糸町方面へ。
三井のカーシェアーズで借りた車は、タイムズカーで借りた車よりも馬力を感じました。家の近くで車を借り続けるなら、自分が運転しやすいサイズ感や乗り心地なども覚えておきたいところ。
安全運転で、錦糸町に到着! 今回乗ったヤリスクロスの輝くカラーが、東京スカイツリーと青空に映えていました。
時間内に運転を終えたら、ステーションで車を返却。鍵が元の位置に収納できているか、エンジンやシステムがオフになっているか、ドアミラーが格納されているかなどを確認してから、スマホでの操作を行いましょう。
エントリーナンバー3:エブリゴー(EveryGo)
最後に、3社の中では唯一、自動車メーカーが運営するサービス「エブリゴー」に登録してみます。
エブリゴーの運営は、あのHONDA。タイムズカーや三井のカーシェアーズは様々なメーカーの車を選ぶことができますが、エブリゴーで借りられるのはすべてHONDAの車。HONDAの中で気になる車種、お気に入りの車種がある人にとってはメリットが大きそうです。
メールアドレスを登録した後は、エブリゴーでもタイムズカー同様、ガイダンス指示による免許証撮影、セルフィー撮影が必要。撮影を済ませた後、他サービスと同様に個人情報を入力するのですが、免許証情報の入力は必要ありませんでした。
申請完了までの時間はあまり他サービスと変わらなかったのですが、入会審査の結果がわかるまでは「10分〜3時間」と他サービスより少々時間が長め。今回は、最初の審査結果が返ってくるまでに1時間ほどかかりました。
内容に不備があると、再度申請して結果が返ってくるまでにも時間がかかってしまいます。他サービスより時間をかけて審査しているので、安全に利用できるのかもしれませんが、急ぎの場合は少々ハードルが高いように感じました。
登録を済ませたら、アプリにも登録情報を連携。車を検索してみると、エブリゴーはタイムズカーや三井のカーシェアーズと比較すると、ステーション数はかなり少なめ。たまたま近所にステーションがあればいいのですが……。
エブリゴーも三井のカーシェアーズと同様、車種を絞ってのステーション検索も可能。検索画面に車が表示されるので、少しテンションが上がります。
また、三井のカーシェアーズにはなかった概算料金の表示も嬉しいポイント。
エブリゴーでは最低30分の単発利用から距離料金が発生するので、タイムズカー・三井のカーシェアーズと比べると若干お得さで見劣りする部分もありますが、実際の車の乗り心地は果たして……!
エブリゴーは車内がきれい、運転もしやすい
ということで、ステーションにやってきました。今回予約した車種はN-BOX。タイムズカー・三井のカーシェアーズと比べて車がピカピカに整備されていて、ちょっと驚きました。
ホイールにHONDAの純正品が使われていたり、カラーがカスタムされていたりと、外見の美しさは他社と比べてもかなり評価できると思いました!
スマホから利用開始の操作を行ったら、早速車内も確認していきましょう。
車内環境も、臭いや汚れが気にならないだけでなく、手入れが行き届いているように感じました。
備品類が専用のボックスに入っていたりと、ちょっとしたところに心配りを感じます。また、エブリゴーの車には初心者マークも標準装備! 運転初心者には嬉しいサービス。しっかり2枚入っていたので、運転に自信のない人は、車の前後に貼りましょう。
今回のステーションはマンションの階下にある駐車場だったので、出庫には難易度の高さを感じました。
エブリゴーは、一つの最寄駅近くにいくつもステーションがあるわけではないので、出庫のハードルや料金で車を選ぶというより、気になる車種や憧れのモデルの車を選んだほうが、満足感が高そう。
なんとか駐車場から車を出してみると、ガソリンが少し減っていました。せっかくなので、給油をしていきましょう。支払いの際は、グローブボックス内のクレジットカードを利用することをお忘れなく!
給油割引は200円と、タイムズカーと比べると少ないですが、有人のガソリンスタンドを利用すれば、待っているだけで給油が完了するので案外お手軽です。
ガソリンも満タンの状態になったので、東京湾方面に向かってみることに。実際に走ってみると、今回借りた車はかなり運転しやすく感じました。あくまで個人の感想で、車種やグレードの関係もありますが、やはり一貫して「整備が行き届いている」ことが、エブリゴーの秀でた点であると感じました。
都心から豊洲方面にやってきて、かわいい車とパシャリ。交通量の多い道路も多く運転には気を使いましたが、アクセルが踏みやすくハンドルも切りやすかったので、なんとかステーションまでも安全運転できそうです。
とここで、はしゃぎすぎて返却時間に間に合わないというトラブルが……! 延長申請しようと思いましたが、エブリゴーの延長は30分単位から。他2社は15分から可能だったので、延長料金の最低額が少々高め。余裕を持って行動するようにしましょう。
なんとかステーションに戻って来たら、駐車に挑戦。少しテクニックが必要な駐車場でしたが、バックモニターの性能がかなり良かったので、初心者でもなんとか駐車できました。ドライブ中の乗り心地は、満場一致でエブリゴーに軍配があがりました。
カーシェア3社の料金比較! 安かったのは「エブリゴー」
今回はタイムズカー、三井のカーシェアーズ、エブリゴーの車をそれぞれ1時間ずつ予約して利用してみました。最後に、実際にかかった料金を比較してみましょう。
タイムズカー:1210円(時間料金880円+補償サービス330円)
三井のカーシェアーズ:1340円(時間料金900円+補償サービス440円)
エブリゴー:1317円(時間料金800円+補償サービス330円+距離料金187円)
一番安かったのはタイムズカーでしたが、タイムズカーのみ880円の月額使用料がかかってしまっています。エブリゴーは距離料金が加算されるので、コスパ的には期待できないかと思いきや、時間料金や補償サービスが安かったため、このような結果に。
料金は車種やパック利用をするかどうかによっても変わりますが、ベーシックな軽自動車〜コンパクトカーを短時間借りる場合には、エブリゴーが一番安いという結果になりました。
おすすめカーシェアサービスは「三井のカーシェアーズ」
実際に登録から乗車まで行ってみた結果、個人的に最もおすすめしたいと思ったサービスは三井のカーシェアーズでした。登録までの時間が圧倒的に短く、月額料金がかからないため、数ヶ月に一度車に乗りたいタイミングが来る初心者ユーザーにぴったり。
エブリゴーは車の乗り心地も良く安かったのですが、ステーション数が圧倒的に少ないので、カーシェアならではのメリットを感じにくいと思いました。ただし、近所にエブリゴーのステーションがあるという人は、エブリゴーを優先的に借りるのもいいと思います。
また、タイムズカーは、月に一度は必ず車に乗りたいという人におすすめ。月額料金が発生してしまうので、乗らない月がある人にとっては持て余してしまうかもしれませんが、ステーション数が多いので、定期的に乗る人にとっての使い勝手はずば抜けていると思います。
どのサービスもそれぞれ違った利点があるので、まずはシンプルに一番借りやすいところにステーションがあるサービスに登録してみるのもいいと思いますよ!
【結果】どのサービスを使ってもカーシェアは便利
それぞれステーション数や車の乗り心地に違いはありましたが、短時間利用では料金にそこまで大きな差はありませんでした。1時間車を借りれば気晴らしのドライブにも行けるし、運転を練習するのにもぴったりだし、ちょっとしたお買い物にも行けちゃいます。
どのサービスを使っても2000円未満で車を借りることができますし、Webで入会を完結できるので、思い立ったらいつでも車でお出かけすることができちゃう現代、すご〜い!
家の近くにステーションを見つけたら、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
カーシェアって、実際どうなのかしら?