プロが教える、盛れる証明写真用メイクのコツ 運転免許証の「犯罪者顔」から卒業しよう

年齢確認などのタイミングで免許証を提出した時に、友人から「犯罪者みたいだね(笑)」と言われたこと、ありませんか?(筆者はあります)。

基本的に5年に1度しか更新できない免許証の写真。

盛れてない自分の写真を長年使い続けたくはない……にもかかわらず、前日しっかり睡眠を取っても、いつも以上に気合を入れてメイクしても、結局盛れない──それが免許証の写真なのです。

否!

今回は「もう免許証写真で失敗したくない」という人のために、カラコンなし・笑顔なしという規定の範囲で盛れる免許証写真用メイクを、プロのメイクアップアーティスト指導のもとご提案!

免許を取得、もしくは次回免許証を更新するタイミングでぜひ試してほしいこのメイクで、自分的に大満足な5年間を過ごしてください!

どれだけ頑張ってもうまくいかないの……どうして?

プロのメイクアップアーティストが免許写真でも「盛れるメイク」を指南

今回は、免許証更新を間近に控えているのるウェイ編集部員・かよちゃんに免許証用メイクを実践。メイクの指導をしてくれるのは、プロのメイクアップアーティスト・天沼茉奈美さんです。

かよちゃん 天沼さん、どうか私を助けてください……。

天沼茉奈美 もちろんです! 今日はセルフメイクで来てもらった感じですよね。

かよちゃん そうです。いつもは着色直径大きめのカラコンも付けているのですが、今日は泣く泣く裸眼で出勤しました。

天沼茉奈美 今日のメイクでこだわったポイントなどはありますか?

かよちゃん 今日は裸眼なので、目力が足りないかなと思ってアイメイクはしっかりしてきました。涙袋を強調したり、アイライナーを長めに引いたりしています。あとは、直前にしっかりリップを塗り直してます。

天沼茉奈美 じゃあまずはセルフメイクの状態で、写真を撮ってみましょうか!

免許証用の写真なので、真顔でパシャリ!
免許証用の写真なので、真顔でパシャリ!

かよちゃん うわ〜〜〜! 色々最悪ですね……生き恥だ……。

天沼茉奈美 どこが一番気になりますか?

かよちゃん 正直言うと全体的に気になっちゃうんですけど、まずはやっぱり目かな。とにかく生気がない。免許証の写真って笑顔もダメだから、笑わないように気をつけた結果、表情も中途半端になってるし。

天沼茉奈美 前髪はいつも分けてるんですか?

かよちゃん ぱっつんなんですけど、目にかかる長さなので仕方なく分けています。いつもは隠れてるから、テキトーにしかやってない眉毛もモロ見えでつらい。

天沼茉奈美 ちょっと血色がない感じにも見えますね。免許証の写真ってプロが撮ってくれるわけじゃないから、フラッシュは強いし影が強く見えすぎる場合もあって、それでいわゆる犯罪者感が出ちゃうのかもしれません。

パーツ別・免許証用写真対策メイク術

天沼茉奈美さんや、カメラマンの意見も聞きながら色々話し合ってみた結果、免許証用の写真が盛れない理由は複数あるようです。

【免許証用の写真が盛れない理由】
・周囲が暗く、輪郭〜顎周りが暗く映りやすい
・フラッシュが強く、立体感がなくなりやすい
・奥目の人は目元が暗く見えやすい
・リップ色が浮いて見えやすく、不自然
・真正面を向かないといけないので、顔の歪みが分かりやすい
・無表情なので多幸感がない
・チークが色飛びやすく、体調が悪そうに見える
・ベースメイクがくすみ見えしやすく、透明感がなくなる
・前髪や輪郭が見えるようにしなくてはいけないので、ヘアアレンジが難しい

かよちゃん 盛れない理由がてんこ盛りですね。これってメイクでなんとかなるんですか?

天沼茉奈美 メイクの力をナメないでください。薄暗いライブハウスの中で歌いながら踊るアイドルだって、きちんとステージ用のメイクをすればいつも以上に輝けるんですよ。フラッシュで飛んでしまう立体感も盛れない角度も、メイクで全部操ってみせましょう!


周囲の環境や規定に沿った表情・角度によって、盛れない写真撮影の特徴を押さえまくっている免許証用の写真。アイドルの現場メイクも得意分野だという天沼茉奈美さんのお力を借りながら、パーツごとにメイクのコツをまとめてみました。

くすみを飛ばすベースメイクで透明感と陰影を演出

写真映りの暗さによる肌のくすみ見えを緩和するために、下地はピンクのコントロールカラーを使用。

下地は顔の全面に塗らず、おでこ・鼻・頬・顎など、顔の高い位置に置き、顔の外側に向かって伸ばしていきます。

下地はピンクのコントロールカラーで肌のくすみ見えを緩和

顔が平面的に見えるのを避けるため、ファンデーションはツヤ系のリキッドファンデーションを使用。

小鼻、鼻下など、くすみや赤みが気になる部分もしっかりカバーします。実際よりも暗く映る場合が多いので、地肌の色よりも明るめのトーンを選びます。

免許証用などのいわゆる“証明写真”の場合、首下が暗く見えやすいため、首にもファンデーションを付けて、顔色とトーンを合わせます。

暗く見えやすい首下にもファンデーションを付けて

ベースを明るくつくり込んだら、シェーディングで陰影をつくり、立体感を演出していきます。

パウダータイプのシェーディングを大きめのブラシに取り、生え際やおでこのハチ、横顔のEゾーンにのせます。

横顔のEゾーンにもパウダータイプのシェーディング

正面から見ると陰影がなくなりやすい鼻まわりも、しっかりシェーディング。

まずは鼻の一番低い部分から、目のくぼみに沿ってブラシをすべらせます。鼻筋を強調するというよりも、鼻より低い部分にしっかりと陰影をつけるのがコツ。最後に鼻の根元にも影を入れると、ハイライトなしでも鼻に立体感が出てきます。

鼻の根本はココ!
鼻の根本はココ!

最後にパウダータイプのハイライターを扇形のブラシに取り、顔の高い位置に乗せていきます。おでこの中心線や眉上、鼻頭、頬の高い位置に入れましょう。

パウダータイプのハイライターを顔の高い位置に

天沼茉奈美'sコメント

ベースメイクはシェーディングを最大限に活用して、立体感を強調しています。ご自身のお悩みに合わせて、削りたい部分にシェーディングを乗せていきましょう。下地とファンデーションはどちらもピーチ系のカラーを使用。透明感メイクを意識する時は青やラベンダー系カラーを使う人も多いと思いますが、免許証用の写真は血色感がなくなりやすいので、寒色は避けましょう。パウダーで仕上げる場合は、マットタイプがおすすめ。パールの入ったものは予測しないテカリを生む可能性もあるので避けて!

「死んだ魚の目」にならない! 光を取り入れる抜け感アイメイク

眉は写真を撮った時に、海苔のように平面的に見えてしまうことがあるため、抜け感を意識します。

眉色より明るめのブラウンのアイブロウペンシルを使って、眉のベースを埋めていきます。形はアーチ型を意識すると、無表情でも女性らしさが強調されます。

眉頭にはペンシルを使わず、スクリューブラシで全体をぼかします。眉尻から眉マスカラを入れると、毛流れに立体感が出ます。

眉頭にはペンシルを使わず、スクリューブラシで全体をぼかす

ベースメイクと眉メイクが終わった状態でも、すでに洗練された雰囲気が出てきました。

ベースメイクと眉メイクが終わった状態でも洗練された雰囲気に
いぇい!

アイメイクは2色のカラーを使って、陰影や抜け感を意識。

カラーメイクは目指さず、今回はシンプルにオレンジブラウンのベースカラーと締め色を使用。ベースカラーをアイホール全体に乗せた後、濃いカラーを使って、まつげの隙間を埋めます。

濃いカラーを使って、まつげの隙間を埋める

目の幅に対して3分の1の部分に薄いブラウンカラーを使い、まつげの隙間を埋めます。涙袋には明るめのベージュカラーを使用し、涙袋の高さを強調。

涙袋強調メイクを取り入れなくても、陰影を付ける場所をしっかり選んでいるので、カラコンなしで目力をアップできます。

カラコンなしで目力アップ

まつげは目に光が入るようにビューラーでしっかりと上げるのがポイント。長さが出るタイプのマスカラで抜け感を高めます。

長さが出るタイプのマスカラで抜け感を高める

天沼茉奈美'sコメント

アイカラーは大粒ラメを避けて。写真に写った時に、二重幅が潰れて見えやすいです。アイライナーを使うと目元がキツく見えやすいので、横幅を強調したい場合も、締め色を目尻側長めに入れるのがオススメです。下まぶたはマスカラをすると目の下が暗く見えるので、ノンマスカラで仕上げました。アイカラーはナチュラルですが、写真でも目に光が入りやすく、二重幅が強調されるメイクを目指しました。

白飛びしてもげっそりして見えない! チークとリップで多幸感をプラス

免許証用メイクではアイメイクはカラー感を抑え、チークでいきいきとした血色感を高めていくのが鉄則。

免許証用メイクではチークでいきいきとした血色感を高めていくのが鉄則


自肌が赤らんだ時のようなコーラルカラーをブラシに取り、シェーディング効果を活かすよう頬骨に沿ってナナメにすべらせると……。

頬が上がり、笑顔をつくらなくても優しい印象に

頬が上がり、笑顔をつくらなくても優しい印象が強調されます。頬の横側もしっかりチークを乗せると、シェーディング効果もアップ!

リップは免許証用の写真では浮いて見えやすいので、カラー感は薄めを意識。唇の中心から、ブラシで少しずつ色味を乗せて唇色を補正したら、クリアカラーのグロスプランパーを塗り、ツヤ感とふっくら感を強調します。

免許証用の写真では浮いて見えやすいリップは、薄めのカラー感を意識

最後は、無表情でも口角が上がって見えるように、口角を引っ張り上げながら下唇輪郭の延長線を描きます。

口角メイクには、ブラウンのリキッドアイライナーを使用します。さいごにつくった口角ラインに沿ってリップを少しだけ足すのがポイント。

口角を引っ張り上げながら下唇輪郭の延長線を描く

アイライナーや涙袋強調メイクをしなくても、顔が立体的に見え、はっきりした印象に仕上がりました!

天沼茉奈美'sコメント

今回、唯一濃いめに仕上げたのがチークメイクです。アイメイクやリップメイクで色味を抑えた分、チーク色は濃いめに入れて「血色感のあるナチュラルメイク」を目指しました。

ヘアアレンジはシンプルに! シースルーの前髪を決め手に

前髪はしっかり分けるよりも、適度なシースルーにして抜け感を強調。多すぎる場合は顔の外側に流しておき、シースルーにしたい部分だけ、アイロンでカールをつくってスプレーで固めます。

適度なシースルーにして抜け感を強調

もみあげ下の後れ毛は輪郭が見えつつ、抜け感も出るようにゆるめのアーチを描くように巻きます。

天沼茉奈美'sコメント

横髪をつくれないので、アップヘアは地雷の可能性が高め。ボブ丈より髪が長い人でも、ストレートのダウンスタイルがオススメです。ただ耳掛けするだけだとマジメ感が出るので、輪郭が隠れないようにもみあげの毛をアーチにしたのもポイント。スプレーは全体に吹きかけると立体感や抜け感が失われるので、指に出して毛先を中心に少しずつ付けて!

脱犯罪者! 「盛れる免許証用メイク」が完成…!

天沼茉奈美さんの的確な指導のもと、完成した「盛れる免許メイク」がこちら。

before
before

after
after

笑顔に見えるかもしれませんが、口角メイクや血色感のあるチークのおかげでしかなく、よく見ると自然な無表情です。ですが、before写真と比べると圧倒的に盛れています。

ベースメイクでしっかり入れたシェーディングのおかげでフェイスラインがすっきりして、ヘルシーな印象に。色飛びしやすい肌の血色感は、ベースカラーと濃いめのチークカラーで補っています。縁取りせず自然に仕上げたリップも馴染みがよく、カラートーンにまとまりがあるように見えます。

ナチュラルメイクでも、目力はしっかり。自分でメイクする時はコンプレックスの部分に足し算メイクをしてしまいがちですが、カラコンなしでもいきいきとした雰囲気を演出するために、他のパーツメイクとうまく足し引きされています。

かよちゃん 免許証写真用のメイクとは言いながら、鏡で見てもめっちゃ盛れてる! 今までの自メイクを見直すきっかけにもなりました……!

天沼茉奈美 正面から見ても立体感があって、写真写りが暗くなりやすい環境でも血色感や多幸感が失われないメイクを目指しました。

かよちゃん 当日もこのメイクを再現できるようにがんばるぞ〜!


なお今回のメイクは、免許証用の写真だけでなく、パスポート用の証明写真や大学生の学生証用の写真、就活や転職の時のプロフィール写真を撮影する時にも活かせます。

免許証の写真撮影時は白シャツをレフ板のように使うと◎

最後に写真撮影時のちょっとした小技を紹介。撮影時には、写真が暗くなることを防ぐためには、メイクだけでなく写真のように顔の前まで広がるオーバーサイズ気味の白トップスを着用するのがオススメです。

顔の前に白トップスを広げることで、レフ板のような効果を得ることができ、写真全体の印象が明るくなります。

バストアップしか映らないので、白シャツの時もタックアウトして前に引き出しましょう
バストアップしか映らないので、白シャツの時もタックアウトして前に引き出しましょう

血色感を高める垢抜けメイクと白トップスのレフ板があれば、もう犯罪者顔の免許証とはおさらばです。メイクは何度か練習して、来る本番撮影に備えてみてくださいね。

関連リンク

天沼茉奈美|Instagram

  • Writing: ミクニシオリ

  • Photo: 寺内暁

自信に満ち溢れてるやん

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