もしもの時に慌てない!交通事故に遭った時の「正しい対応手順」徹底ガイド

安全運転を心がけていても、いつ、どこで交通事故に巻き込まれるかは予測できません。特に初心者ドライバーにとって、事故直後の混乱した状況下で、冷静かつ正確な対応を取ることは非常に難しいことです。
しかし、事故後の対応を間違えると、適切な補償を受けられなかったり、大きなトラブルに発展したりする可能性があります。
このコラムでは、万が一事故に遭ってしまった時のために、「自分に過失がある場合(加害者側)」「相手に過失がある場合(被害者側)」に分けて、事故対応の基本から重要な手続きまでを、初心者の方にも分かりやすいように徹底解説します

誰にでも起こる可能性があるからしっかり読んでくれよ。

大前提:事故対応の「3つの鉄則」

事故が発生したら、自分の過失の有無にかかわらず、以下の3つの鉄則を最優先に行動してください。

鉄則

理由

鉄則 1: 負傷者の救護(最優先)

人命救助は道路交通法上の義務であり、最も重要です。

鉄則 2: 警察への連絡(義務)

事故の大小にかかわらず、警察への報告は道路交通法上の義務です。

鉄則 3: 保険会社への連絡

事故処理のプロである保険会社に、できるだけ早く連絡し、指示を仰ぎます。

ステップ 1:事故直後の初期対応(過失の有無にかかわらず共通)

事故が起きた直後、混乱している中でも冷静さを保ち、以下の手順で行動します。

① 車を安全な場所に移動させる

  • 二次被害の防止: 可能な限り、車を路肩など安全で交通の邪魔にならない場所に移動させます。
  • ハザードランプと発煙筒: ハザードランプを点灯させ、周囲に事故発生を知らせます。特に夜間や高速道路では、発炎筒や停止表示板を必ず設置し、後続車に注意を促します。


② 負傷者の救護(人命救助が最優先

  • ケガ人の確認: 相手と同乗者、そして自分の車の同乗者にケガ人がいないか確認します。
  • 救急車の手配: 意識がない、出血がひどいなど、少しでも重症の可能性がある場合は、ためらわずに119番(救急車)を呼びます。
  • 応急処置: 救急車が到着するまで、可能な範囲で応急処置を行います。(ただし、安易に動かすと危険な場合もあるため注意が必要です。)


③ 警察への連絡(必須)

  • 110番通報: 軽微な物損事故でも、必ず110番で警察に連絡します。
  • 連絡する内容:事故が発生した場所(住所や目印)、負傷者の有無、事故の状況。
  • 事故証明の取得: 警察に届出をしないと、「交通事故証明書」が発行されません。この証明書がないと、保険金の請求手続きができません。


④ 証拠の確保と情報交換

  • 事故状況の記録: ドライブレコーダーの映像が停止していないか確認し、可能であれば、以下の情報をスマホのカメラで記録します。
  • 事故直後の車の位置、破損状況(広範囲と近接)、現場周辺の状況(信号、標識など)
  • 相手方の情報交換: 以下の情報を確実に交換します。
  • 相手の氏名、住所、連絡先
  • 相手の車のナンバープレート
  • 相手の加入している自賠責保険・任意保険の会社名

⚠️ 重要!その場での約束はしない

事故の原因や責任(過失割合)について、その場で相手と約束をしたり、「全て私が悪い」などと発言したりするのは絶対に避けてください。過失割合は保険会社や警察が決定するものです。

ステップ 2:過失の有無による対応の違い

警察への報告と情報交換が終わったら、速やかに保険会社に連絡します。ここからの対応は、自分が加害者側(過失が大きい)か、被害者側(過失が小さい)かによって少し異なります。

A. 自分に過失がある場合(加害者側)

【主な対応】 相手への謝罪と、迅速な保険会社への連絡です。

  1. すぐに保険会社に連絡: 警察への報告後、すぐに自分の加入している任意保険会社に連絡し、事故の状況を正確に伝えます。
  2. 保険会社が交渉を代行: 任意保険の対人・対物賠償保険を使う場合、相手との示談交渉は全て保険会社が代行してくれます。
  3. 相手への誠意: 事故後、相手のケガや車の状況を気遣う姿勢は大切ですが、具体的な損害賠償額や過失割合については、全て保険会社に任せましょう。

⚠️ 注意点: 事故を起こしたのが初めての場合、保険会社への連絡を怠ったり、相手と直接示談交渉をしようとしたりして、事態を悪化させるケースがあります。必ず保険会社へ連絡し相談しましょう。


B. 相手に過失がある場合(被害者側)

【主な対応】 自分の損害(ケガや車の修理)を保険で賄うための手続きと、相手方との交渉です。

  1. 自分の保険会社に連絡(必須): 自分に過失がない場合でも、自分の保険会社に連絡します。
  • 理由: 事故の状況を記録してもらうため。また、弁護士費用特約に加入していれば、自分の保険会社の提携弁護士費用を保険で賄えるため、相手との交渉を弁護士に任せられます。
  1. 病院での受診: 事故直後は平気でも、後から痛みが出る「むちうち」などのケガが多くあります。痛みがなくても、念のため必ず病院を受診し、診断書を発行してもらいましょう。(病院を受診しないと、後から痛みが出ても事故との因果関係が認められず、補償を受けられない場合があります。)
  2. 車の修理: 車の修理見積もりを取り、保険会社を通じて相手の保険会社に請求します。

ステップ 3:事故後の最終確認と重要な手続き

事故現場での対応が終わった後も、以下の重要な手続きが残っています。

① 交通事故証明書の取得

  • 申請: 警察が事故現場を調べた後、自動車安全運転センターに申請することで発行されます。
  • 利用: 保険会社が示談交渉や保険金支払いを行うために必須の書類です。通常は保険会社が取得をサポートしてくれます。


② 示談交渉と保険金の支払い

  • 示談交渉: 警察の調査や、事故状況の記録をもとに、保険会社同士が過失割合(責任の割合)を決め、損害賠償額を確定させるための交渉を行います。
  • 確認: 示談が成立する前に、提示された賠償額や過失割合について、必ず自分の保険会社や弁護士(特約を利用している場合)に相談し、納得してから署名しましょう。


③ 保険を使用するかの判断

  • 保険料への影響: 自分の保険(車両保険など)を使用すると、翌年の保険等級が下がり、保険料が上がります。
  • 判断の基準: 修理費が少額(例えば10万円以下)で、保険を使用すると翌年からの保険料上昇額が修理費を上回る可能性がある場合は、保険を使わずに自己負担する方が得策な場合があります。この判断は、保険会社に相談しながら慎重に行いましょう。

まとめ:事故は「冷静な対応」と「保険」でしっかりと対応する

交通事故に遭った時、最も大切なのは人命救助、次に警察への連絡、そして保険会社への報告の3点です。

感情的にならず、その場での安易な約束を避け、事故対応のプロである保険会社に全て任せることで、トラブルを最小限に抑え、適切な補償を受け取ることができます。日頃からドライブレコーダーの作動確認と、任意保険の補償内容を確認しておきましょう。

  • Writing: のるウェイ! 編集部

    「のるウェイ」は、KINTOが運営する“クルマに詳しくない人”のためのWEBマガジン。編集部では、カーライフにまつわるモヤモヤやハテナを、初心者目線でていねいに掘り下げ、共感と発見のある読みものとして発信している。 コンテンツは、運転未経験からスタートする成長ストーリーや、教習所・ドライブ体験レポート、さらにはVTuberとのコラボ企画など多彩。ときには最新のコネクティッドカー技術もやさしく解説しながら、「運転って意外とおもしろいかも?」と思えるきっかけを届けている。 “気になる”から始まるカーライフの入口をつくるべく、編集部ではジャンルにとらわれず、等身大の視点でクルマと人との関係性を日々再発見している。

どんな小さな事故でも冷静にしっかりと対応することが肝心だぞ。

share SHARE

編集部のおすすめ