運転に慣れてきた頃こそ、気をつけたいのが「うっかり違反」。自分ではルールを守って運転しているつもりでも、実は法律に触れてしまっているケースが……あるんです!
今回はそんな「気づきにくい違反」のなかでも、日常的にやってしまいやすいものをピックアップ。さらなる安全運転に向けて、しっかり押さえておきましょう。
「ちょっと降りるだけ…」のつもりが違反に?
「車を運転するときのルール」と聞いて、まず思い浮かぶのは道路交通法かもしれません。でもこのルール、実は「車を離れるとき」にも決まりがあるんです。
1.「エンジンかけっぱなしでコンビニ」はNG?

ちょっとコンビニに寄ったとき、「飲み物を買うだけだから」と、エンジンをかけっぱなしで店内に。よく見かける光景ですが、実はこの行動、「停止措置義務違反」に問われる可能性があります。
車を離れるときは、「他人が勝手に運転できない状態」にしておくことがドライバーの義務とされています。つまりパーキングブレーキだけでなく、「エンジン停止とドアロック」までがセット。思わぬ事故や盗難を防ぐためにも、「ちょっとだけだから……」は禁物です。
違反してしまうと……?
・違反点数1点
・反則金6,000円(普通車)
(停止措置義務違反:道路交通法第71条第5項)
2.「信号待ち中に運転席から降りる」のもアウト

トランクの荷物を取りに行こうと、信号待ちで運転席からサッと降りる……。そんな何気ない行動が、交通違反になってしまうかも。
人の乗り降りは「停車」にあたるため、交差点や横断歩道の手前など、「駐停車が禁じられている場所」での乗り降りはNG。トランクの確認やドライバー交代などは、きちんと安全な場所に停車してから行いましょう。
違反してしまうと……?
・違反点数2点
・反則金1万2,000円(普通車)
(駐停車禁止場所違反:道路交通法第44条)
視界や運転姿勢にも注意
安全なドライブのためには、「運転しやすい車内環境」が欠かせません。十分な視界と正しい姿勢が確保できていないと、それだけで違反になることもあるんです。
3.「スマホの置き場所」で違反に?

カーナビ代わりにスマホを使っている人にとって、スマホホルダーは必需品。でも、「なるべく見えやすい場所に……」と設置したはずが、思わぬ違反につながることも。
とくに車内のフロントガラスは「ドライバーの視界」に大きく影響するので、法律で「装着できるもの」と「設置できる範囲」が定められています。
スマホは「ガラスに装着できるもの」には該当しないため、吸盤式のホルダーなどでフロントガラスや三角窓に固定するのはNG。スマホホルダーを置くときは、ダッシュボード上などで「死角を作らない場所」を選んで設置しましょう。
違反してしまうと……?
・3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
(整備不良車両の運転:道路交通法第62条)※参考
※保安基準に適合させるための命令や指示に従わなかった場合、50万円以下の罰金
(道路運送車両法第54条)※参考
4. 窓から顔を出すワンちゃん、かわいいけれど……

窓から顔を出し、風を感じているワンちゃん。とても気持ちがよさそうで、見ていて心が和みますよね。でもよく見ると、サイドミラーが塞がっているような……?
ペットの影でサイドミラーが見えなくなったり、ペットがドライバーの膝に乗ったりと、適切な運転操作ができなくなっている状況は、「乗車積載方法違反」にあたる可能性があります。
事故が起きたときのリスクを減らすためにも、ペットを乗車させる際には専用のケージやキャリーなどに入れてあげましょう。
違反してしまうと……?
・違反点数1点
・反則金6,000円(普通車)
(乗車積載方法違反:道路交通法第55条第2項)
5.「近所だしサンダルで……」が命取りに

「ちょっとそこまで」のつもりで、サンダルを足に引っかけ出発……。ついついやってしまいがちな行動ですが、実はこれもリスク大。
脱げやすい履き物や、底の厚い靴などは、運転には不向きです。サンダルがペダルに引っかかったり、ヒールでブレーキを強く踏めなかったりと、「とっさの対応」が間に合わなくなるおそれがあります。
さらに、操作に支障がある状態での運転は、「安全運転義務違反」に問われる可能性も(操作に支障があるか、安全運転の義務を怠っているか否かが重要)。たとえ短い距離でも、ペダルを踏みやすい靴で運転に臨みましょう。
違反してしまうと……?
・違反点数2点
・反則金9,000円
(安全運転義務違反:道路交通法第70条)
高速道路の特殊ルールにも注意
一般道とは環境の違う高速道路。いつもと運転の感覚が変わるだけでなく、ルールも少し変わるので、たまの遠出では注意が必要です。
6. 右側車線はあくまで追い越し専用

高速道路の右側車線は、「速い車が進むためのレーン」と思われがち。しかし実際には、「追い越し専用」の車線です。
あくまで臨時に使うものなので、追い越したあとはすぐに左車線へ戻るのが原則。ずっと右車線を走り続けるのは「通行帯違反」にあたります。混雑やトラブルを回避するためにも、「なんとなく右側キープ」は避けましょう。
違反してしまうと……?
・違反点数1点
・反則金6,000円(普通車)
(車両通行帯違反:道路交通法第20条)
7. ガス欠って違反なの?

いざ高速を走り出してから、ガソリンを入れ忘れていたことを思い出し、気づけばガス欠ギリギリに……。遠出の準備に気を取られると、事前の給油を忘れがちです。
ペースの速い高速道路では、燃料切れでの立ち往生が大きな危険につながります。ガス欠で止まってしまうと、「運転者の遵守事項違反」に問われる可能性も。
一般的に、燃料切れが近いことを告げる「エンプティランプ」が点灯してからは、30km~50km程度は走行可能です。一方、高速のパーキングは50km間隔を目安に設置されていますが、ガソリンスタンドがあるパーキングまで間隔が空くケースもあるので、早め早めの給油を心がけましょう。
違反してしまうと……?
・違反点数2点
・反則金9,000円(普通車)
(運転者の遵守事項違反:道路交通法第75条の10)※参考
※高速の本線に車を停止させてしまった場合、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(過失による場合には10万円以下の罰金)
細かすぎる交通ルールも安全のため!
今回紹介した違反例は、どれも「うっかり」や「つい」でやってしまいそうなものばかり。運転に慣れているドライバーでも、「これも違反なの?」と驚いてしまうかもしれません。
しかし、これらはすべて安全のためのルールです。「違反だからダメ」なのではなく、「危ないからこそのルール」だと思うと、日々の運転に対する意識も変わってきますよね。
車を離れるときの決まりから、車内環境に関するルールまで、ほんの少しの意識が事故やトラブルを予防し、自分自身の安心にもつながります。
どっちかっていうと気づいてない気がする……