冬のドライブを安全に!初心者向け「雪道対策」と「タイヤチェーン装着術」

冬が近づくと、雪道や凍結路面での運転に不安を感じるドライバーは多いでしょう。特に雪が降る地域へのドライブや、スキー・スノーボードなどのレジャーを計画している場合、事前の準備は欠かせません。
このコラムでは、初心者の方が安心して冬のドライブを楽しむために必要な車の準備、そして最も重要な「タイヤチェーンの装着方法」を、基礎から分かりやすく解説します。

スキーやスノボにいきたいわ!

冬を迎える前の車の必須準備(3つのチェック)

安全な冬のドライブのためには、雪が降り始める前に車全体の状態をチェックしておくことが大切です。

✅ 1. タイヤの交換(スタッドレスタイヤへ)

雪道や凍結路面で最も重要なのはタイヤです。

  • スタッドレスタイヤの役割: スタッドレスタイヤは、通常の夏タイヤとは異なり、低温でも硬くなりにくい特殊なゴム素材と、雪や氷を掴むための細かい溝(サイプ)が特徴です。凍結路や積雪路でグリップ力(地面を掴む力)を発揮し、安全性を高めます。
  • 交換時期: 毎年、地域の初雪の1ヶ月前を目安に交換するのが理想です。急な降雪に慌てないためにも、早めに準備しましょう。
  • 保管: 外した夏タイヤは、直射日光を避け、風通しの良い場所に保管しましょう。


✅ 2. 冬用ウォッシャー液とワイパーブレード

視界の確保は、冬の安全運転の生命線です。

  • ウォッシャー液の交換: 夏用のウォッシャー液は、氷点下になると凍ってしまい、使用できなくなることがあります。凍結防止剤の入った冬用(-30℃対応など)のウォッシャー液に全量入れ替えましょう。
  • ワイパーブレードの点検: 大雪が降ると、ブレード(ゴムの部分)が凍結して硬くなり、ガラス上の雪や氷をうまく拭き取れなくなることがあります。雪が降る地域に行く場合は、より頑丈で凍りにくい「冬用ワイパー」に交換することをおすすめします。


✅ 3. バッテリーの健康診断

  • バッテリーの弱点: バッテリーは、気温が下がると性能が低下する性質があります。さらに、冬場はヒーターやデフロスター(曇り止め)、シートヒーターなどの電力消費が増えるため、バッテリー上がりが起きやすい季節です。
  • 事前のチェック: カー用品店や整備工場でバッテリーの電圧と寿命をチェックしてもらい、弱っている場合は早めに交換しましょう。

もしもの時のための「携行品リスト」

冬の長距離移動では、予期せぬトラブルや渋滞に備えて、以下のものを車に積んでおきましょう。

携行品

役割

タイヤチェーン

規制区間や急な積雪時に脱出するために必須。

雪かき用スコップ

車の周りやタイヤ周辺の雪を取り除く。樹脂製や折りたたみ式が便利。

牽引ロープ

立ち往生した車を引っ張ってもらう、または引っ張るために必要。

ブースターケーブル

バッテリーが上がった際に、他の車から電気を分けてもらうために必要。

防寒具

ブランケット、厚手の手袋、カイロなど。渋滞でエンジンを止める場合に備える。

非常食・飲料

渋滞時のために、カロリーメイトや水などを常備。

軍手

チェーン装着時や雪かき作業時の防寒・滑り止め。

初心者でもできる!タイヤチェーンの正しい装着方法

スタッドレスタイヤを履いていても、大雪警報が出たり、一部の高速道路では「全車チェーン規制」が敷かれたりする場合があります。いざという時のために、装着方法を習得しておきましょう。

前提:チェーンを装着するのは「駆動輪」

  • FF車(前輪駆動): 前のタイヤ2本に装着
  • FR車(後輪駆動): 後ろのタイヤ2本に装着
  • 4WD車(四輪駆動): 車種によって指定が異なります。取扱説明書で確認しましょう(通常は前輪または全輪)。


🛠️ チェーン装着のステップ(金属製・ゴム製共通)

ステップ 1:安全な場所の確保

  1. 平坦な場所を選ぶ: 雪が降る前に、必ず平坦で安全な場所で練習しておきましょう。実際の雪道では、坂道やカーブでの装着は非常に危険です。
  2. ハザード点灯と停車: 装着場所を見つけたら、ハザードランプを点灯させ、路肩の安全な位置に停車します。
  3. 軍手と防寒具: 手袋や軍手を装着し、作業を始めます。


ステップ 2:チェーンをタイヤに被せる

  1. チェーンを広げる: チェーンを地面に広げ、フックや金具がすべて上を向いていることチェーンが絡まっていないことを確認します。
  2. タイヤの後ろに配置: 広げたチェーンを、**タイヤの奥(裏側)**から通し、チェーンの輪がタイヤの上部まで届くように引き上げます。
  3. フックを接続: チェーンの上部(タイヤの頂上)にある接続フックや金具をしっかり繋ぎます。これでタイヤ全体をチェーンが覆った状態になります。


ステップ 3:車を少し動かす

  1. チェーンを固定: 接続した状態で、車を約10cm〜30cmほどゆっくりと前進させます。
  2. 残りのフックを接続: 車を動かしたことで、タイヤの裏側に隠れていたチェーンの端が出てきます。この残りのフックや締付金具を、タイヤの外側でしっかりと接続し、チェーンを固定します。
  • ポイント: 接続はできるだけ強く引っ張り、チェーンがタイヤに密着するように締め付けます。緩いと走行中に外れて車体を傷つける原因になります。


ステップ 4:走行テストと再調整

  1. 試運転: 装着後、時速30km以下の低速で数メートル走行します。
  2. 増し締め: 一度走行すると、チェーンがタイヤになじんで緩むことがあります。車を止め、チェーンが緩んでいないか確認し、緩んでいたら必ずもう一度締め直します(増し締め)


⚠️ チェーン走行時の注意点

  • 速度制限: チェーン装着時の走行速度は、必ずメーカーの指定速度(一般的に時速30km〜50km以下)を守りましょう。
  • 急操作の禁止: 急発進、急ブレーキ、急ハンドルは、チェーンが切れやすくなったり、横滑りの原因となったりするため厳禁です。
  • 舗装路の走行: 積雪のないアスファルト路面をチェーンで走行し続けると、チェーンの破損だけでなく、道路やタイヤ、車体を傷めます。雪がなくなったらすぐに外しましょう。

冬の準備とチェーン装着は、安心なドライブの基本です。雪が降る前に一度、チェーンの取り扱い説明書を読み、練習しておくことを強くおすすめします。

  • Writing: のるウェイ! 編集部

    「のるウェイ」は、KINTOが運営する“クルマに詳しくない人”のためのWEBマガジン。編集部では、カーライフにまつわるモヤモヤやハテナを、初心者目線でていねいに掘り下げ、共感と発見のある読みものとして発信している。 コンテンツは、運転未経験からスタートする成長ストーリーや、教習所・ドライブ体験レポート、さらにはVTuberとのコラボ企画など多彩。ときには最新のコネクティッドカー技術もやさしく解説しながら、「運転って意外とおもしろいかも?」と思えるきっかけを届けている。 “気になる”から始まるカーライフの入口をつくるべく、編集部ではジャンルにとらわれず、等身大の視点でクルマと人との関係性を日々再発見している。

しっかり準備して冬のドライブを楽しんでくれよ!

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