クルマ系YouTuber あま猫は、なぜ高級車ばかり乗るのか? “素人”だから気づいた業界の課題と透明性の大切さ

クルマ系YouTuberでありながら、公認会計士兼経営者という異色の経歴を持ち、計7台もの高級車やスーパーカーを所有しているあま猫さん。

監査法人に勤務する傍ら、スーパーカーへの情熱をYouTubeで発信し始め、所有する「マクラーレン750Sスパイダー」や「レクサス IS500」、「SUBARU WRX STI」などのドライブ動画を投稿したり、クルマ関連の情報を発信中。現在、チャンネル登録者数は40万人を超えています。

そんな彼女がクルマにハマったきっかけは、メイド喫茶勤務時代に出会った『頭文字D』と『ワイルド・スピード』。そこからなぜ、現在のような“クルマ沼”にどっぷりとハマったのか。そして、ハマったからこそ感じた「クルマ業界のグレーな部分」とは何なのか。

素人目線や情報の透明性を大切にするスタンスで人気のあま猫さんに、1台数千万円もする高級車の魅力や活動を通じて成し遂げたい目標を聞きました。

あま猫さんのYouTubeはクルマに乗らなくても参考になる〜

『頭文字D』からクルマにハマって限定解除、高級車7台持ちのオーナーに

──まずは、あま猫さんがクルマにハマったきっかけについて教えてください。

あま猫 最初のきっかけは、働いていたメイド喫茶の常連さんに『頭文字D』と『ワイルド・スピード』をおすすめしてもらったことですね。私の場合は、キャラクターや作品のストーリーだけではなく、登場するクルマたちのかっこよさに惹かれたんです。

田舎出身なので、それまでは「クルマ=移動のための足」というイメージしかなく、当時乗っていたクルマも実用性以外は深く考えずに選んだ車種でした。でも『頭文字D』や『ワイルド・スピード』をきっかけに、クルマによって加速のスピードや挙動、乗り心地などが全然違うということを知り、自分でも体感してみたいと思ったんです。

あま猫さん
あま猫さん

──メイド喫茶からの『頭文字D』ですか。もともとアニメや漫画などのカルチャーにも興味があったのでしょうか?

あま猫 学生時代からオタク気質でしたね。学生時代には『涼宮ハルヒの憂鬱』からギターにどハマりした時期もありましたし、趣味でコスプレしていたこともありました。作品の影響を受けて何かにハマり込むことが多くて、クルマ好きにもなるべくしてなった気がします。

──ちなみに、クルマにハマる前に選んだ自家用車は何だったんでしょうか?

あま猫 最初は特にこだわりがなかったので、オートマ限定で免許を取って、ダイハツの「ムーヴコンテ」という軽自動車に乗っていました。選んだ理由は、軽自動車のわりに荷物が積載しやすいことと、維持費を抑えやすいからです。

でも、自分でもカッコいいクルマを運転したいと考えるようになって、自動車学校に通い直して、マニュアル免許を取得しました。

──わざわざマニュアル免許を取得するなんてすごい意気込みですね。クルマにハマってから、最初に手に入れたのはどんなクルマだったんですか?

あま猫 スバルの「WRX」です。水色のATの軽自動車で、四輪駆動でMTのスポーツセダンの新車をオーダーしに行ったので、そのギャップからかディーラーさんにも「本当に大丈夫なのか?」と心配されました(笑)。

個人的には『頭文字D』に登場する憧れのクルマ(※主人公・藤原拓海の父である藤原文太が作中中盤以降に駆る愛車)の後継車種だったこともありますし、新車で買えるMT車は限られているので、“最初の一台”としてはあまり悩みませんでした。

──その後、なぜ今のようにたくさんのクルマのオーナーになっていったのでしょうか?

あま猫 コロナ禍の時期に、暇つぶしにYouTubeでも投稿してみようかなと思ったのがきっかけです。本当にX(当時はTwitter)やInstagramに上げるような感覚でした。最初は、当時趣味だった麻雀の動画を上げてみたんですが、あまり伸びなくて。なんとなく、愛車のWRXを洗車する動画を上げたら反響がすごかったんです。

そこからクルマ関係の動画を投稿し始めました。すると、意外にもお小遣い以上の稼ぎになったので、せっかくならと増車し始めたら……今となっては7台持ちになってしまいました(笑)。

「女のくせに」と叩かれても……“自分には無縁”だった高級車をきっかけに変わった人生

──購入するクルマには、あま猫さんなりの基準があるのでしょうか?

あま猫 最初に憧れを抱いたという意味で、やっぱりスポーツカーやスーパーカーに惹かれますね。最初に購入したWRXはセダンタイプで積載量も多いので、他のクルマに関してはカッコいいもの、走行性能が良いものから選びたいという思いはありました。

──高級車を複数台買って、乗ったことで、そのメリットや魅力をどのように実感していますか?

あま猫 高級車だからというより、メーカーが作り上げるフラッグシップモデルは、やっぱり「各メーカーの車種の中で最も走行性能を高めてある」ところに価値があると感じています。私は好きなメーカーにこだわるのではなく、あえて様々なメーカーの車を買っているのですが、メーカーごとにフィロソフィーの違いを感じられて面白いですね。

たとえば、同じスーパーカーでも、ラグジュアリー重視の乗り心地のいいクルマもあれば、運転性能に全振りのクルマもあります。何より現在の活動を通じて、フェラーリやランボルギーニなど、数年前まで「自分には一生無縁」だと思っていたクルマの乗り心地の違いを感じられました。今振り返ると、それは私にとって人生を変えるほど大きな経験であり、魅力だったんですよね。その経験によって、現在も活動を続けているので。

──あま猫さんはまさに、クルマという“ハード”そのものにハマり込んでいるんですね。

あま猫 そうなんです……! 実際に乗ってみると、運転席のボタンやレバーの配置など、同じスーパーカーでもまったく異なる思想や考え方で作られていることがわかります。運転手を第一に考えられたものなのか、助手席にいる人の乗り心地を考えているのか……その哲学を「実感」することこそが、私が感じているクルマの楽しさですね。

──今までに購入した車の中で、特に思い入れのある車種はありますか?

あま猫 本当に悩みますけど、フェラーリですね。YouTubeで自分がたくさんの人に認知してもらえるきっかけになったのが、2022年に購入したフェラーリの「ポルトフィーノ」なんですよね。

当時は監査法人に勤めていたのですが、副業申請する時に、監査法人での業務内容については言及しないようにと言われていたので、動画では濁して“丸の内OL”と言っていたんです。すると、見てくれた人からは「OLがフェラーリなんて買えるわけないだろ」と叩かれまして(笑)。

でも、そういった反発の声があったから、注目してもらえるきっかけができたのも事実ですから。

──注目されるとどうしても批判的な反応も増えてしまいますが、あま猫さんご自身はどう受け止めていらっしゃるのでしょうか?

あま猫 実は、WRXの時には過激なコメントは少なくて、フェラーリを買ってからそういう声が急に増えたんです。もちろん「ただ好きなクルマに乗ってるだけなのに、なんでこんなに文句言われなくちゃいけないんだろう」と思うこともありました。“女のくせに生意気だ”とか、主語の大きい反発も多かったですから。

でもクルマをどんどん増車して、監査法人を辞めて自分の情報を公開してからは「どうせ男に買ってもらってるんだろ」という根も葉もないコメントは減りました。でも、次は「金持ち自慢するな」と感情をそのままぶつけてくるようなコメントが増えていきました。

私は性別に関係なく好きなクルマに乗っていいと思いますし、そのスタンスは今後も変えずに発信を続けていきたいと思います。

「クルマ好きを増やす」だけでなく、クルマを取り巻く世界を“安心できる場所に”

──監査法人から独立して以降は、公認会計士としての肩書きを公開されています。身分を明かしたからこそ、発信の内容などで意識している点はありますか?

あま猫 公認会計士は社会的に信用度が高い資格の一つなので、高級車のローンを組みやすい理由の一つになっています。だからこそ私自身、動画でも信用度の高い情報を公開するようにしています。

SNSでは、高級車を持っているけど、何の仕事をしているかわからない人がたくさんいるじゃないですか。私自身、身分を明かせない時期にそういった批判を受けたこともありますし、「高級車=怪しい職業の人のクルマ」というイメージになってしまうのは嫌なので、透明性のある情報発信には気をつけています。

とはいえ、私はクルマ業界の人間、つまり“プロ”ではないので、クルマ関係の動画はあくまでクルマ好きの素人目線を大切にしています。ですが自身の肩書きや、どんな気持ちで車を買っているかを開示することは、視聴者の理解を得るためにも必要なことだと思っています。

──クルマ関係の情報は、メーカーやディーラー、ジャーナリストなど、業界に詳しい人が運営するYouTubeチャンネルも多いですよね。あま猫さんの場合は、そういった方々とは異なるスタンスということでしょうか?

あま猫 そうですね、目線は違うのかなと思います。クルマ業界はある種クローズドな面もあるので、新参者や素人の意見は潰されやすいんです。でもそのままだと、クルマに興味を持つ人がどんどん減ってしまいますし、私はプロによる専門的な情報も、素人ならではの視点による情報も、どちらも大切にするべきだと思っています。

──あま猫さんのYouTubeチャンネルの視聴者は、プロと素人の方、どちらが多いんですか?

あま猫 私のチャンネルは圧倒的に素人の方が多いと思います。中にはクルマを持っていない人もいますし、かなりライトなクルマ好きや“興味はある”くらいの人たちが大半ですね。

だからこそ、難しい専門用語などはあまり使わないようにしています。世の中にクルマ好きを増やすことが、自分の活動の目的でもあるので。

──たしかにクルマを一歩踏み込んで知ろうとすると、車種や専門用語の多さはハードルになりそうですね。

あま猫 専門用語もそうですし、業界ならではの“グレーな部分”も、新規ユーザーを怖がらせてしまう理由の一つだと思っています。たとえば中古車を買う時も、ユーザー側は鑑定書の内容で判断するしかないけど、それだけじゃ本当の車両経歴ってわからないんですよ。

実は、私もそのグレーな部分を経験したこともあります。2023年に、愛車の「フェラーリ488スパイダー」で追突事故の被害に遭ってしまい、修理をしても修復歴が残り車両価値が半減してしまうため、損失回避の手段として泣く泣く手放したことがありました。でもその後、車体番号が同じフェラーリが「修復歴なし」として市場に出回っていたこともありました。

──事故で車体を修理したはずなのに、その事実が開示されずに販売されていたと。

あま猫 そうですね。修復歴があっても、綺麗に直してしまえば消費者にはわからない──修復歴を残さないことを優先し、本来あるべき修理方法ではなく車両の安全性を無視した方法によって修理を行い、恣意的に車両価値を操作する、そういった騙し騙され合いがクルマ業界にはあるように見受けられました。でも、実際にお金を払うユーザーに正しい情報が伝わらないのはおかしいと思っています。

──そういったケースに出会わないためという点も含めて、あま猫さんご自身は、車を買う前にどういった情報を集めていますか?

あま猫 結局、私も含め消費者ができることは、ネットで開示されている情報を見ることや、信頼できるクルマ屋さんの話を聞くくらいしかできません。インターネットがこれだけ普及している時代でも、結局は人に頼らざるを得ないし、その人が嘘をついているかどうかもわからない。だからこそ今、ユーザーにも車のデータをきちんと開示請求できる未来のために、企業と協業したり、講演会に出演したりもしています。

業界側からも透明性を高めていこうという声は上がっているんですけど、全体としてのムーブメントにはまだなっていない状況です。私たちユーザー側も要望を出していかないと業界も動かないと思うので、声を上げていくことが必要だと思っています。

──最後に、今後の活動の目標を教えてください。

あま猫 クルマに関しては、現状7台あって1週間のうち1日1台ずつ乗るのがやっとなので、きちんとメンテナンスできる範囲で増やしていけたらいいと思っています。EVカーやクラシックビンテージカーなど、まだ乗ったことがないクルマもたくさんあるので、好奇心の赴くままに、もっとたくさんのクルマに乗ってみたいですね。

また、「フェラーリ488スパイダー」の事故からは、クルマ好きを増やすことに加えて、クルマ業界の透明性を高めていくことも、自分の目標の一つになりました。特に中古車に関しては、1台あたりの査定で査定担当者に支払われる金額が低く、その結果査定にかける時間が短くなる、そして正確な査定ができない──など、業界の構造的な問題が色々あります。

たとえ私が素人側だとしても、その問題を周知するための発信を続けていく必要があると思っていますし、自分にしかできないことを続けていきたいです。

関連リンク

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  • Writing: ミクニシオリ

    1992年生まれ。広告制作会社にて営業職を経験したのち、2017年5月からライター・編集として活動。2018年より独立。WEBメディアを中心に活動し、執筆・編集実績は多岐に渡る。ライフスタイル、エンタメ記事を中心に、ビジネス系記事、レポート記事など幅広く文章コンテンツの作成に携わる。地上波バラエティなど、メディア出演歴もある喋れる編集ライター。

  • Photo: 宇佐美亮

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