【前編】あの日、地元の怖い先輩のクルマに漂っていた“匂い“の正体を僕達はまだ知らない。

突然ですが、「あの日怖かった地元の先輩のクルマの匂い」ってあるじゃないですか。

私の世代だと、地元の怖い先輩のクルマって大抵、運転席のところがファーで埋まってて、ミラーからは模造のハイビスカスみたいなのがぶら下がってたんです。そして、沁みついた煙草の臭いの間から、先輩のクルマでしか嗅いだことのない良い匂いがずっと漂っていた。なんだか今でも、それが”大人のクルマの匂い”としてずーっと記憶に残ってるんです。

当時の先輩の年齢をとっくに超えて、私もいつしか大人とみなされるような歳にはなりました。

しかし今となってもなお、クルマにあんなムーディな匂いは漂ってはいません。最近、たまたまカー用品店に行く用事がありましてね。ふと「自分もそろそろ車の匂いに気を遣っても良いんじゃないか?」と思ったんですが、陳列棚に並んだ数々の商品ラインナップを眺めているうち、ある重大な事実に今更ながら気付いてしまったんです。

「あの日、先輩のクルマに漂っていた匂い、結局あれって何の匂いだったんだろう?」

1970年代のマイカーブーム以降、車用芳香剤は熾烈な開発競争を繰り広げてきました。キンモクセイにムスク、シトラスなど”匂い”の豊富さもさることながら、エアコンへの取付けタイプや高機能ディフューザーなど”匂わせ方”も千差万別。今や車用芳香剤は用途や好みにあわせて無数の選択肢が存在する一大産業。膨大な商品ラインナップの中から思い出だけを頼りに一つの匂いを探し出すことは、並大抵の話ではないでしょう。

しかし”探し出す”ことにこだわらなければ、もっと単純明快な力技も無くはありません。

だって、お店の棚に並んでいる市販の芳香剤を片っ端から嗅いでみる覚悟さえあるなら、どれがどの匂いに一番似てるかなんて、目の前に答えが出てるも同然じゃありませんか。

そこで今回は、記事を前後編に分け、前編ではカーフレグランスに興味がある人へ向け、どんな商品があるのかや、それぞれの用途を紹介。

後編では、皆さんも気になるであろう、多種多様な車用芳香剤の違いを実際に嗅いでレビュー。そして、全く皆さんが気にならないであろう「あの日、私の地元の先輩のクルマに漂っていた良い匂い」に一番近い香りを持つ車用芳香剤を、独断と偏見からご紹介いたします。文章なんかじゃ伝えきれないカーフレグランスの奥深き世界。

皆さんも、私、そして見ず知らずの知らない先輩と一緒に、足を踏み入れてみませんか。

葉っぱ型のやつをぶら下げてた人とかいたな〜

カーフレグランス、その奥深き世界へ

今回この極めて私的な企画にまさかのご協力を頂けたのは、愛知県名古屋市にあるスーパーオートバックス NAGOYABAY。2025年11月にリニューアルオープンしたばかりの、エリア最大級の売り場面積を誇る超大型店舗です。

スーパーオートバックス NAGOYABAY店の店内

日用品からイベントまで、魅力はなんと言っても取り扱い商品の豊富さ!

それはもちろん車用芳香剤だって変わりません。見てください!スーパーオートバックス NAGOYABAYではなんと二列ぶち抜きで、国内外の様々な車用芳香剤を取り扱っているんです。

”匂わせ方”一つとっても千差万別な現代カーフレグランスの商品ラインナップ。

「沢山種類があるって言われても何があるのか想像もつかない……」という方のために、まずはご厚意に甘えて車用芳香剤のタイプを大まかに4つご紹介しておきましょう。

・置くタイプのもの

蓋を開ければすぐ香る、置くタイプの車用芳香剤は最もポピュラーな製品でしょう。

特徴は車内のどこに置いても使える利便性の高さ。中身によって「固形」「ゲル」「液体」の3種類に分類可能。液状のものほど匂いが広がりやすくなりますが、中身も零れやすくなるため、用途によった使い分けが必要になります。

安価な商品がコスパに優れる一方、”車用香水”とも称される高級路線の選択肢が豊富なのも特徴の一つです。

(製品例)L2025 リキッド エモーショナリー ブルーアクア - ブラング(外部リンク

・クリップするタイプのもの

エアコンの吹き出し口にセットするクリップタイプは、省スペースな芳香剤です。

エアコンの風に乗って、匂いが車内に満遍なく広がるため、見た目の小ささに反して香りは感じやすくコントロールも容易。一方で設置場所が固定される関係上、容量制限があるため他の製品群に比べて使用期間が短めと言われています。

吹き出し口周りの形状によっては設置が難しい場合もあるため、購入前の確認が欠かせません。

(製品例)ハレノカ クリップ サニームスク - 晴香堂(外部リンク

・吊り下げるタイプのもの

車内インテリアに合わせやすいのが吊り下げるタイプの車用芳香剤。

厚紙に匂いを染み込ませたペーパータイプのものから、花などにオイルで香りをつけたポプリタイプ、瓶入り香水などデザインの選択肢がとにかく豊富。バックミラーやエアコンの吹き出し口など設置場所も自由が効きやすく、使いやすさがなによりの特徴です。

一方で、他の製品タイプに比べて香り自体はあまり強くないことが多いため、車内環境によっては複数併用も視野に入れる必要があります。

(製品例)LT エアーフレッシュナー - Black Ice(外部リンク

・噴霧するタイプのもの

近年人気なのが、アロマオイルを気化させるタイプの車用芳香剤。

シガーソケットにディフュ-ザーを装着、オイルを噴霧することで香りを一瞬で車内に広げることができます。オイルは容易に入れ替えられ、選択肢も豊富で香り高さも抜群。こだわる人にはおすすめですが、ゴージャスさの引き換えとして初期投資費用が他タイプよりも少しお高め。

「本格的に車内環境を整えたい!」と思い立った人にこそ是非使って欲しいタイプかもしれません。

(製品例)L10621 噴霧式フレグランスディフューザー ダブル ブラック - カーメイト(外部リンク

もちろんこの他にも、スプレータイプのものや貼るタイプのもの、パック詰めの芳香剤や詰め放題の檜チップなんて商品まで存在します。

こうしてラインナップの豊富さを眺めているだけで、私が”奥深い”と言った理由は十分お分かりいただけたんじゃないでしょうか?

記憶を辿って、あの日の匂いの”正体”まで

車用芳香剤の基本的な使い方も分かったところで、今回はこの情報を元に「あの日、私の地元の先輩たちのクルマに漂っていた良い匂い」を逆算してみることにしましょう。

まずはじめに、「吊り下げるタイプのもの」ではなかったはずです。何故なら先輩は車で煙草を吸う人で、芳香剤はその臭いを消すために置いていたはずだから。選択肢としてはより強く香る製品群から選んでいたと考えるのが自然でしょう。バックミラーには造花もぶら下げまくってたし、花に埋もれてなかった限りは多分別の場所に置いていたはずです。

「噴霧するタイプのもの」も条件からは外れます。ディフューザー形式の車用芳香剤が日本で一般化したのは概ね2020年代からと言われており、私が先輩のクルマによく乗せてもらっていたのは十数年前の話なので、時期がずれてしまうからです。現在も販売されているかどうかは分かりませんが、最低限その当時から存在していた製品でなくてはいけません。

また、いくつかの記憶が確かなら「クリップするタイプのもの」でもないはずです。はじめて先輩のクルマに乗ったあの日、緊張しながらドアを開けた瞬間から、あの匂いは確かに外にまで漂っていた。そもそも先輩は私を乗せるとき、「お前にはもったいない」という理由で必ずエアコンを切っていたので、クリップタイプのものならもっと匂いの印象は薄かったことでしょう。

あの日見たあれは……なんか缶みたいなのに入ってて……一度まとめ買いにも付き合わされた気がするんだよな……。確か、最初は自分で用意したオシャレな香水の瓶みたいなのを置いてたんだけど、中身が漏れて染みになって、彼女さんに小言を言われたのがイヤになって、定番製品に切り替えたんじゃなかったっけ……?

そんな朧げな記憶を頼りにフロアをウロウロしていたところ、ここで店員さんから思いもよらない有力情報が。

現在スーパーオートバックス NAGOYABAYで一番売れている車用芳香剤は、栄光社が手掛ける置くタイプの芳香剤「エアースペンサー」(外部リンク)。

そしてなんとこの商品、発売から45年の歴史を誇る大定番シリーズで、長きにわたって業界をけん引してきた缶型車用芳香剤のトップランナーだというじゃありませんか。

パッケージには若干の変化があるとは言え、フォルムはあの日先輩のクルマで見た芳香剤そっくり。販売開始年にも矛盾はなく、定番製品という立ち位置もピッタリ。「あの日、先輩のクルマに漂っていた良い匂い」の正体として、これほど違和感のない製品は他にありません。

まさか、こんなに簡単に匂いの正体が突き止められるとはな~!と、喜んだのもつかの間、ここで店員さんからまたもや思いもよらぬ情報が。

「現在ではエアースペンサーは20種以上の香りの取り扱いがあります」

”匂わせ方”が千差万別なら、”匂い”も十人十色なのが車用芳香剤の奥深い世界。長きに渡り開発競争のトップランナーを走り続けてきたエアースペンサーは、私が先輩のクルマに乗せてもらっていたあの頃から劇的に製品ラインナップを増やしており、今では(次世代シリーズである「R90」シリーズ5種を除く)全28種類ものフレグランスが同時並行で販売される大規模なシリーズとなっていたのです。

と、なったら、もうね。

全種類買って、嗅いでみるしかないじゃないですか。

ということで、後編では28種類の「エアースペンサー」を購入し、どんな匂いがするのかをレビュー。そして、記憶をたどりながら各商品の「先輩のクルマに漂っていた匂い度」を5段階で評価します。

関連リンク

スーパーオートバックス NAGOYABAY|公式サイト

エアースペンサー|公式サイト

スーパーオートバックス NAGOYABAY店舗情報

【住所】愛知県名古屋市港区木場町9-51

【営業時間】AM10:00~PM8:30

【定休日】不定休

【駐車場】318台

  • 作家・ライター: 赤野工作/模範的工作員

    ゲーマー。作家・ライターとしても活動しており、代表作に『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』『遊戯と臨界』など。愛車はトヨタ・ ルーミーで、休日にリサイクルショップに遠征して中古ゲームを積んで持ち帰る用。

share SHARE

編集部のおすすめ