近年、交通事故や「あおり運転」のニュースが増える中、自分の身を守るための必須アイテムとしてドライブレコーダー(ドラレコ)の需要が急速に高まっています。
しかし、その種類や機能は非常に多く、「どれを選べばいいの?」「取り付けは難しそう…」と迷う初心者の方も多いでしょう。このコラムでは、ドラレコの基本的な機能から、選び方、そして取り付けのポイントまでを分かりやすく解説します
なぜドライブレコーダーが必要なのか?
ドラレコは、単に事故を記録するだけでなく、運転におけるいくつかの大きなメリットがあります。
- 事故の客観的な証拠: 交通事故が発生した際、当時の映像や音声が記録されることで、過失割合の決定や保険金の請求において、客観的な証拠となります。口論になるのを防ぐ役割も果たします。
- あおり運転対策と抑止力: 後方録画機能付きの機種(リアカメラ)であれば、あおり運転を受けた際にその様子を記録できます。また、車外から見える位置に設置されたドラレコは、それ自体が危険な運転に対する抑止力となります。
- 駐車中の監視: 駐車監視機能があれば、当て逃げやいたずらなど、停車中のトラブルも記録できます。
旅の思い出: ドライブの美しい景色を記録し、旅の思い出として残すこともできます。
ドライブレコーダーの基本的な機能と種類
ドラレコを選ぶ上で知っておきたい、主な機能とカメラ構成の種類を解説します。
✅ カメラの構成による種類
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
① フロント(前方)のみ | 車の前面ガラスに設置し、前方を録画。 | 安価で設置が簡単。配線がシンプル。 | 側面や後方の記録ができない。あおり運転対策には不向き。 |
② 前後2カメラ | 前方カメラと、後部ガラスに設置するリアカメラのセット。 | 前方の事故に加え、後方からの追突やあおり運転も記録できる。 | リアカメラの配線を車内を通す必要があり、設置の手間が増える。 |
③ 360度カメラ | 1台で全方向(水平360度)を録画できるカメラ。 | 側面からの衝突や、幅寄せ、当て逃げなどの記録に強い。 | 映像が引き伸ばされるため、特定の方向の映像が鮮明さに欠ける場合がある。 |
④ 3カメラ(前方+後方+車内) | タクシーや業務用車で使われることも。車内の様子も記録できる。 | 運転者の行動や、車内でのトラブルも記録できる。 | 設置が複雑になり、価格も高めになる。 |
✅ 映像の品質と記録に関する機能
機能名 | 概要 | 選ぶ際の目安 |
解像度 | 映像の鮮明さ。フルHD(1920×1080)が現在の最低基準。より鮮明なQHD(2560×1440)や4Kを選べば、ナンバープレートが認識しやすくなる。 | フルHD以上。ナンバー認識重視ならQHD/4K推奨。 |
HDR/WDR | 逆光やトンネルの出入り口など、明るさの差が激しい環境でも、白飛び(明るすぎ)や黒つぶれ(暗すぎ)を防ぎ、映像を補正する機能。 | 必須機能。対向車のライトなどに対応できる。 |
GPS機能 | 映像と一緒に日時、速度、走行ルートを記録する機能。事故発生時の正確な状況を証明できる。 | 証拠能力を高めるためにも推奨。 |
Gセンサー(衝撃検知) | 衝撃を感知した際に、その前後の映像を上書きされないように専用フォルダに自動保存する機能。 | 必須機能。 |
最重要!「駐車監視機能」の種類と選び方
ドラレコの需要が高まった大きな理由の一つが、エンジン停止中の車を守る「駐車監視機能」です。
駐車監視の仕組み
種類 | 監視中の電源供給方法 | 特徴 |
① 内蔵バッテリー型 | ドラレコ本体のバッテリーで動作。 | 監視時間が短く(数時間程度)、長時間の監視には不向き。 |
② 車のバッテリー利用型 | 車のバッテリーから電源を取る(別途配線が必要)。 | 長時間の監視が可能。ただし、バッテリーが上がりすぎないよう、電圧が一定以下になると自動で停止する機能(バッテリー上がり防止機能)が必須。 |
③ 外部バッテリー型 | シガーソケットなどから充電する専用のバッテリーを使用。 | 車のバッテリー上がりの心配がなく、安定して長時間の監視が可能。最も安全性が高い。 |
録画方式
- 衝撃検知録画: 衝撃を検知したときだけ、その前後の映像を記録する。(バッテリー消費が少ない)
- タイムラプス(コマ送り)録画: 録画のフレームレート(コマ数)を少なくして、長時間連続で記録する。(後から見返すのが楽)
当て逃げやいたずら対策を重視するなら、バッテリー上がり防止機能が付いた「車のバッテリー利用型」か「外部バッテリー型」の、前後2カメラモデルを選びましょう。
ドライブレコーダーの設置方法と注意点
ドラレコの取り付けは、フロントカメラだけなら比較的簡単ですが、リアカメラや駐車監視機能付きの場合は専門知識が必要になることがあります。
ステップ 1:設置場所の確認
- フロントカメラ: 道路運送車両法により、フロントガラスの上から20%以内(通常はルームミラーの裏側)に設置する必要があります。運転の視界を妨げない場所を選びましょう。
- リアカメラ: 後方視界の邪魔にならない、リアガラスの上部に設置します。
ステップ 2:配線の処理
- フロントカメラ: シガーソケットから電源を取る場合、配線を天井の隙間(ルーフライナー)やピラー(柱)のカバー内に隠して処理します。
- リアカメラ: 前方カメラから後方カメラへ配線をつなぐ必要があり、車の内装材(ピラーやスカッフプレートなど)を剥がして隠す作業が必要です。
⚠️ 注意! サイドエアバッグが内蔵されているピラー内に配線を無理に押し込むと、万が一の事故の際にエアバッグの動作を妨げる可能性があるため、配線はエアバッグを避けて通すか、不安な場合はプロに依頼しましょう。
ステップ 3:取り付け方
取り付けは、主に両面テープ式と吸盤式があります。
- 両面テープ式: 強力で安定性が高いですが、一度貼ると剥がしにくいです。
- 吸盤式: 取り外しや角度調整が簡単ですが、走行中の振動や熱で外れやすい欠点があります。
安定性重視なら「両面テープ式」をおすすめします。
おすすめの選び方のまとめ
初心者の方が安心して選ぶためのポイントを整理します。
- 必須機能: 前後2カメラ(あおり運転対策)、フルHD以上、Gセンサー、HDR/WDRは必ずチェック。
- 安心感: 有名メーカー(コムテック、ユピテル、セルスターなど)の製品を選べば、性能や耐久性が安定しています。
- 設置方法: 配線に自信がない、または駐車監視をしたい場合は、カー用品店や専門業者に「取り付け込み」で依頼するのが最も安全で確実です。
ドラレコは「保険」と同じです。いざという時に確実に作動し、鮮明な映像を残してくれる高品質なものを選び、安心なカーライフを送りましょう。









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